宗教研究
Online ISSN : 2188-3858
Print ISSN : 0387-3293
ISSN-L : 2188-3858
宗教における修行と身体 : 宗教学の視点から(宗教における行と身体,<特集>第六十六回学術大会紀要)
渡辺 学
著者情報
キーワード: 修行, 身体, 西行, 釈教歌, 月輪観
ジャーナル フリー

2008 年 81 巻 4 号 p. 785-804

詳細
抄録

宗教における修行と身体の問題は、さまざまな形で論じられてきた。本論では、これらの問題を信と知、信と行、精神と身体などの枠組みにおいて概観してから、湯浅泰雄の修行論としての身体論を取り上げる。湯浅の修行論の特徴は、東洋的修行の本質を身心一如に見出していることである。このような観点を一つの準拠枠としながら、修行の視点から西行の釈教歌の分析を試みる。そして、心と月と西の概念を手がかりとして、西行の宗教的な自然観を浮き彫りにする。西行は、桜の花と月に魅了された生涯を送ったが、月には仏教的な意味づけの世界があり、とりわけ月輪観という密教的な瞑想法と密接な関係がある。本論では、このような月のイメージがさまざまな釈教歌においてさまざまな展開を見せていることを明らかにする。

著者関連情報
© 2008 日本宗教学会
前の記事 次の記事
feedback
Top