宗教研究
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宗教的ニューカマーと地域社会 : 外来宗教はホスト社会といかなる関係を構築するのか(宗教の創りだす絆-信仰による交わりの意義と可能性-,公開シンポジウム,<特集>第七十回学術大会紀要)
三木 英
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2012 年 85 巻 4 号 p. 879-904

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抄録

現代日本では外国籍の住民が増え、それに伴って日本人に馴染み薄い宗教の施設も増加することになっている。ブラジル福音王義キリスト教やイスラームがその宗教の代表であるが、それらの現状は日系人やムスリムだけが集う、孤立した信仰共同体にとどまっている。それら共同体に日本人信者は僅かしかおらず、教会やモスクの所在する地域の住民が、それらに出入りすることはない。とはいえ宗教的なニューカマーもホスト社会に無関心であるかといえば、そうではない。彼らは日本人・日本社会に向け活動し、メッセージを発信しているのである。その働き掛けは現時では一方的なもので、多くの日本人はその現実に気づいてはいない。しかし現代日本が多文化共生をその課題とする限り、日本人がニューカマーによる活動・メッセージを認識することは必要であろう。宗教的なニューカマーは国内に増加している。彼らと日本人との間の協働関係構築の可能性は、探究するに値しよう。

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