宗教研究
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論文〔特集:明治維新と宗教〕
近代化社会と民衆宗教
幡鎌 一弘
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2018 年 92 巻 2 号 p. 159-182

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抄録

本稿は、島薗進が提示したコスモロジー=イデオロギー複合論をふまえつつ、二つの課題を設定した。一つ目は、焦点をコスモロジー=イデオロギー複合そのものから社会にずらし、コスモロジー=イデオロギー複合の位置づけの変化を見通すことである。二つ目は、おおよそ一九世紀初頭から論ずることで、「明治維新」を境域とした歴史の連続と断絶の両面を理解することである。第一章では、都市知識人による本門仏立講の開創と、洋学によってコスモロジー=イデオロギー複合が合理性に変質していったことを指摘した。第二章では、神仏分離・廃仏毀釈に呪術を克服する要素があったこと、公私の分離という原則が導入されていたことを示し、明治政府の諸政策あるいは近代に適合した思想を天理教のなかに見出した。

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