レギュラトリーサイエンス学会誌
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原著
緑内障治療に用いる点眼剤の先発医薬品と後発医薬品における製剤学的性質および経済性に関する比較研究
神山 幸輝阿部 貴至唐澤 健介小林 江梨子佐藤 信範
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2020 年 10 巻 3 号 p. 99-108

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抄録

本研究ではラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液の先発医薬品とその後発医薬品4製剤を対象に, 製剤学的性質と経済性を比較検討することを目的とした.

デジタルフォースゲージ (ZTS-500N, (株) イマダ) を用いて, 点眼液1滴を滴下する時に要する押し出し力 (スクイズ力), 1滴重量および総滴数の測定を行った. また, 各製剤の薬価をもとに, 1滴当たりの薬剤費を算出した.

1滴重量は先発医薬品が最大の27.13mgであり, すべての後発医薬品と比較して有意に大きかった (いずれもp<0.01). スクイズ力は, 先発医薬品の3.05Nに対し, 後発医薬品は2.75Nから7.24Nまで相違があった. 総滴数は先発医薬品が最少の104滴で, すべての後発医薬品と比較して有意に少なかった (いずれもp<0.01). 1滴当たり薬剤費は先発医薬品が24.42円, 後発医薬品は10.17円から10.71円まで相違があった.

総滴数はすべての製剤で100滴を超えており, 使用期限である開封後4週間経過時点において残液が生じることが想定されるため, 薬液の充填量を減らすことの必要性が示唆された. スクイズ力の小さな製剤が点眼しやすい一方, 液垂れの懸念があるとの報告があるため, 今後は対象製剤の液垂れと使用感との関係について調査する必要性があると考えられた.

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© 2020 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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