レギュラトリーサイエンス学会誌
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シリーズ(医薬品・医療機器評価をめぐる最近の話題)
PMDAのEarly Consideration発信を通じた審査の考え方の公表に向けた取組み
緒方 映子泉 久尚平岡 秀樹村上 裕之井手野 泰久小川 孝加藤 凌輔松田 嘉弘犬塚 大翔
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2025 年 15 巻 2 号 p. 159-165

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抄録

 近年,欧米で承認されているものの,日本では開発されない「ドラッグ・ロス」の拡大が指摘されている.この要因のひとつに日本の創薬環境や薬事制度への理解が十分ではないことなどがあげられる.一方,欧米当局は革新的技術を用いた医薬品等の開発に関するガイダンスやコンセプトペーパーを早期に公表し,産業界との意見交換や開発促進に繋げている.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は,第5期中期計画のなかで新医薬品の審査に関して「Early Considerationの発信や最新の科学的知見に基づく臨床評価ガイドラインの策定などイノベーションに的確に対応した相談及び審査の実施」を掲げている.Early Considerationとは,情報等が十分に収集されていない段階ではあるものの,イノベーションの実用化と革新的な医薬品等の開発促進の参考情報として,その時点における開発の方向性に係る審査側の考え方を示したものである.Early Considerationの公表により,イノベーションに的確に対応した新医薬品の開発相談および承認審査の実施をめざしている.本稿では,令和7年1月末までにPMDAが公表した8件のEarly Considerationについて,その背景と概要を紹介する.

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