レギュラトリーサイエンス学会誌
Online ISSN : 2189-0447
Print ISSN : 2185-7113
ISSN-L : 2185-7113
特集(国際戦略を踏まえたレギュラトリーサイエンスの人材育成)
レギュラトリーサイエンスに対する医療機器産業界の期待
依田 紀男
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 7 巻 1 号 p. 53-59

詳細
抄録

「医療産業を海外へ」 という政府の掛け声のもと, 一般社団法人日本医療機器産業連合会 (以下, 医機連) の国際政策戦略委員会では, 厚生労働省 (以下, 厚労省) と独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (以下, PMDA) と共に, 2013年より海外の医療機器規制の整合化に向けた活動を行ってきた. 日本の医療機器メーカーにとって, 海外に事業展開する際の課題のひとつが製品登録である. ほとんどの国では, 各国の医療機器規制により製品登録が求められている. しかしながら, 日本の医療機器メーカーには中小企業が多い. そのため, それらの企業は必ずしもレギュラトリー・アフェア (以下, RA) 案件に対応する社員を社内に抱えていたり, 海外の当局に製品登録をするノウハウをもっているとは限らない. したがって, それらの課題の難易度を下げることで, それらの企業が国外でビジネスを展開する際の支援をできるのではないかと考えた. この課題解決に対し, われわれは, レギュラトリー・サイエンスの改善が非常に役に立つと考えている. 何故なら, 効率的で合理的なRAの運営スキルと技術は, それらの知識と経験をもちあわせていない他国の当局にとり新しい技術の医療機器をタイムリーに当該国の患者さんに提供するのに貢献できるからである. 結果として, 日本と他国の当局間でのRAの活動を通じ, それらの国で一部あるいは全面的に医療機器製品登録の資料やデータがもし仮に免除されることになれば, 日本の医療機器メーカーにとって非常に大きな助けになると考えている.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top