レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(リアルワールドデータの活用と課題について)
がん医薬品開発を目指したSCRUM-Japanレジストリの活用
大津 敦岡本 渉布施 望青柳 吉博土原 一哉
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2017 年 7 巻 3 号 p. 205-214

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抄録

SCRUM-Japan (産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業) は, 製薬企業15社と全国245医療機関との共同研究として, 先端的な多遺伝子パネル診断に基づいた肺・消化器がんの企業・医師主導治験 (現在合計40試験) への紹介・登録促進を行う全国的な組織である. 2015年2月から登録開始し, 2017年3月末の第Ⅰ期終了時点で4,800例を登録. 各がん種別でのゲノム疫学データを明らかにし, 各種治験結果をもとに承認申請作業に入っている. また, 臨床ゲノムデータの企業および参加施設とのオンラインデータ共有や新薬承認審査に活用するための疾患レジストリ構築も開始し, 我が国全体での新薬開発促進につなげている. レジストリの構築は, 新薬承認審査時の治験対照群となるデータを収集する目的で, 後ろ向き調査, 前向きレジストリ, 新規医師主導治験での同時並行でのレジストリ収集の3つのアプローチで開始している. SCRUM-Japanによる開発治験・レジストリデータ双方を用いることで, 最適なprecision medicineの実現を目指している.

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© 2017 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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