1980 年 19 巻 5 号 p. 280-283
昭和54年2月17日,川崎市の危険物製造所内,真空蒸留部門の還流ポンプより,火災が発生した.原因は,オイルリングが破損していたことから,潤滑油の供給切れにより,軸受が,焼付きを起こしたためと推定したが,青銅鋳物であるオイルリングのフラクトグラフィー的研究やポンプ運転時のオイルリングの挙動が明らかでないことから,このオイルリングについて,疲労試験,SEM観察,各種実験を行ない,フラクトグラフィー的観点からオイルリングの疲労について検討してみた.この結果,青銅鋳物のオイルリングは,種々の疲労因子が重なれば,疲労破壊するという知見を得たものである.