1981 年 20 巻 6 号 p. 386-389
事故原因が静電気であることがわかっていても,その事故過程がはっきりしないため,適切な対策が講じられないという点も静電気災害の特徴の一つである.1色1ユニットからなる7色刷りグラビア印刷機において,被印刷フィルムの帯電が原因であると思われる火災が4か月間に5回も発生した,しかも特定の機械のみに事故が集中し,また出火箇所が前半ユニットに限られるといった変わったケースである。ここでは,この特異性を解析するポイントについて解説し,原因がインキによって構成される電気回路の放電によることを推定して,その対策について紹介した.