1984 年 23 巻 6 号 p. 405-410
過去に起こった大ぎな破壊事故も,多くは,その起点をたどると,見逃されていた小さな欠陥またはぎ裂に始まる.破壊力学はrき裂の力学」と呼ぼれ,ぎ裂の強度を定量的にあらわL,ぜい性破壊,疲労,応力腐食割れ,クリープ割れ,水素助長割れ,などさまざまな破壊現象の限界条件ならびに進展支配則を しらべる道具である. ここでは,破壊力学の手法による構造物の安全性評価の基本的考え方を示し,欠陥の限界寸法や余寿命推定線図などの解析の例を示す.またこれと共に,実際の構造物への応用で問題となる,設計係数,定期検査間隔の選定,など現状での問題点のいくつかを簡単に紹介する.