1987 年 26 巻 6 号 p. 388-398
1986年8月にカメルーン西北部の火口湖の一つNyos湖で発生したガス災害は,死者1700名以上の被害をもたらした。突出したガスは二酸化炭素がほとんどであり,硫化水素や二酸化硫黄は含まれていなかった。死因は二酸化炭素ガスに覆われたことによる窒息である.二酸化炭素の起源は,その同位体比からマグマ性である.現在のNyos湖には,まだ飽和量の20%に達する二酸化炭素が溶存している.地質学的に類似な環境にある他の火口湖について,ベースラインデータを蓄積することがなによりも重 要である.