安全工学
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阪神・淡路大震災特集(その2)
阪神・淡路大震災以後の阪神間での大気環境問題
後藤 隆雄
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1996 年 35 巻 1 号 p. 81-92

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抄録

大震災後の大気環境影響を3期に分類し,前期では,長田区などの中小零細の化学工場地域で丸2日間の地震火災が発生し,有害物質が人口密集の下町を暴露した問題を検討し,長田区で肺炎などが多い現象を見いだした.中期では,震災地への救援車両,工事車両や重機などの増加で,避難所周辺の大気環境は悪化した.NO2調査を実施した結果は幹線道路周辺の避難所の大気汚染が深刻になっていることがわかった.粉じん汚染も深刻になっていることをデジタル粉じん計と簡易カプセルにより調査した.結果は環境庁結果とも一致した.後期では西宮甲子園浜野焼き場の煙害を受けた武庫川団地でNO2粉じん同時捕集カプセルで調査し,NO2粉じん共野焼き場に面して高濃度であった.震災後の疫学調査として阪神間2468地点のNO2測定と1 586名の健康アンケートとのデータを集約した.震災後の呼吸器系症状を訴えた比率がNO2濃度と有意に相関した.

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© 1996 特定非営利活動法人 安全工学会
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