安全工学
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阪神・淡路大震災特集(その2)
地方行政の危機管理
地方行政の危機管理 静岡県地震対策300日アクションプログラム
井野 盛夫
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キーワード: 東海地震
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1996 年 35 巻 1 号 p. 93-98

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抄録

静岡県は,1976年の地震学会において東海地域で鳳大地震の発生時期が切迫しているとの発表を受け,地震対策を県政の最重要施策として位置付けて積極的に推進してきた.まず東海地震の被害想定による対策目標を設定し,それに基づいて避難路,避難地,消防施設,福祉施設,学校,防潮堤などを地震対策緊急整備事業や地震対策一般整備事業(緊急整備事業以外の県や市町村の単独事業)によって整備し,耐震化を進めた.一方,地震の被害が広域で大規模となって行政だけでは十分に対応ができないことから,住民が隣保互助精神による自主防災組織を育成し,地震予知による対策効果を増すため国が行う地震予知観測へ積極的に協力をするとともに,9月1日に国,県,市町村,住民が参加する総合防災訓練や7月初旬に市町村が行う津波避難訓練など,地域の状況に合わせた訓練をあらゆる機会をとらえて実施し,地震防災センターを設けて常時県民への防災意識の啓発などを行ってきている,しかし,被害想定によって対策内容を充実させていくことだけには限界があり,北海道南西沖地震,釧路沖地震,ロマプリータ地震,ノースリッジ地震など数多くの被害状況を分析して対策の見直しをたびたび行ってきた.今回の大震災から,静岡県は津波を含め東海地震対策に多くの教訓として「地震対策300日アクションプログラム」を取りまとめ,人的・物的被害を減少させる努力を行っている.

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© 1996 特定非営利活動法人 安全工学会
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