2009 年 48 巻 5 号 p. 288-292
自動車の衝突安全がカバーする対象領域は,いまや衝突した際の車体の変形や乗員保護だけにとどまら ない.衝突以前に自動車が通常走行している状態から,衝突の危険性のある状態も含めた,衝突に至るまでのシナリオ全体を安全の対象と考えている.このことは危険予知の重要性を表しているものと解釈できる.また,自動車衝突時における安全性の保持には,自車の乗員保護のみならず,質量の異なる相手側車両との衝突時の適合性(以下,コンパティビリティ)が必要であり,歩行者との衝突に際しては歩行者保護が重要となる.ここでは,衝突安全性能の評価方法を概観し,衝突安全設計例を示すとともに,最新の周辺技術について概要を紹介する.