2012 年 51 巻 5 号 p. 319-326
事故事例の統計解析により,事故の共通要因を抽出する試みがなされている.しかし,その手法は膨大な言葉で記された事故の詳細を,「操作ミス」,「能力不足」といった人為的に定められた分類要因へ分類する統計解析であるため,解析結果から直接事故の要因を知ることは難しい. そこで本手法は,自然言語処理の機械テキストマイニング技術を用い,形態素解析で事故報告書等の文章中の出現頻度の多い単語を注意要因として抽出し,注意要因を用いて原因表現をグループ化するという方法で類似事例を抽出する.グループ化された類似事例は,事例の数から事故の頻度を定量的に評価でき,頻発する事故の内容を知ることができる特徴がある.本手法をPEC-SAFER 事故事例集に適用し注意要因や類似事例を抽出する事ができたので報告する.