安全工学
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論文
化学プラント周辺住民のフィジカルハザードに係るリスク認知
小柴 佑介大谷 英雄
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2018 年 57 巻 2 号 p. 145-154

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抄録

本研究の目的は,火災および有毒ガス漏えいを例にとり,化学プラントの周辺住民のフィジカルハザードに係るリスク認知特性を明らかにすることである.2013 年に火災が発生し,その後有毒ガスが発生する恐れが高いとして周辺住民の避難が勧告されたある化学プラントの周辺住民に対して質問紙調査を行った(n =121).危険性を五感で感じなかった場合,自己判断や周りの人が避難行動を起こしていないといった理由により実際に避難しなかった者が多かった.概して,化学プラントの火災よりも有毒ガス漏えいの方が,恐怖感が強く,被害範囲も広く,被害が想定外になる傾向があると認識していた.住居形態,性別,教育歴,および高齢者との同居の有無はリスク認知に有意な影響を及ぼさなかったが,特に有毒ガス漏えいに関しては,15 歳以下の子供と同居する者は,同居しない者と比べて,リスクがより大きいと感じていることが明らかとなった.

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© 2018 特定非営利活動法人 安全工学会
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