2019 年 58 巻 6 号 p. 394-399
化学産業で一旦大きな火災爆発事故が発生すれば,工場従業員の怪我やプロセスの損壊だけではなく,工場周辺の地域住民の怪我や避難,住宅の損傷,交通機関の麻痺等の影響も発生する恐れがある.そのようなネガティブなリスクをマネジメントする上で,リスクの特定から対応までに至る各段階において,各ステークホルダーとのリスクコミュニケーションが求められる. 横浜国立大学は,文部科学省平成28 年度リスクコミュニケーションのモデル形成事業(機関型)により,「化学プラント等におけるリスク管理者養成コースの検討と実践」としてリスクコミュニケーションの素養を身に付けた人材育成に資する大学院生向け教育カリキュラムを構築した.本稿では,教育カリキュラムの狙いや検討過程,講義内容を紹介した.