2019 年 58 巻 6 号 p. 460-463
人文科学,自然科学,社会科学など多様な分野のリスクに対峙してきたリスク学は,それぞれの学問分野ごとに独自のリスク概念が取り上げられてきた経緯から,これまで単一の学問体系は存在していなかった.しかし,世界の相互接続性,相互依存性の高まりから異なるリスク同士を横断的に俯瞰できる試みが求められている.著者らは,リスク研究の今日的な到達点とリスク研究を実践する上での課題を明らかにするべく,全4 部13 章195 項目のリスク学事典として体系化を行った.リスクの定義を分野横断的に見つめ直し,現代社会の課題に対応できる実学に成熟させることは,まさに時宜にかなうと考える.