安全工学
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論文
シート状サンプラーを用いた有機溶剤の個人曝露濃度測定法の開発
宮内 博幸
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2020 年 59 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

本研究では,作業者の化学物質曝露防止管理の普及を目指し,活性炭素繊維(ACF)を使用した層状の拡散型サンプラーを開発した.ACF のトルエン蒸気に対する吸着性能と保持能力試験を行った結果,サンプリングレート(SR)は1.2 ml / min(4.5 ng /(ppm・min)),添加回収試験の回収率は94%以上,20 ppm 標準ガスにて4 時間曝露後の8 日間保存試験では,4℃保存にて99.8%となった.一定の環境条件下における捕集試験では,温度15 ~30℃,相対湿度48 ~75%,風速0.1 ~0.3 m/s の試験条件の範囲内にてサンプリングが可能と言えた.形状はシート状で凹凸が無いため,装着時に工場の設備と接触するリスクはほとんど無く,狭いスペースでの測定にも適している.今後は多種類の有機溶媒についての検討や,さらに多くの環境条件下における試験が必要と言える.

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© 2020 特定非営利活動法人 安全工学会
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