2022 年 61 巻 2 号 p. 125-132
製造業における機械等による「はさまれ,巻き込まれ」災害件数は最多である1).重篤な後遺症の残る「はさまれ,巻き込まれ」休業災害や死亡災害を減らすためには,重点的かつ優先的な対策が求められる.機械等による労働災害防止に関しては,機械設備の保護方策や作業者のヒューマンファクターに関する研究例が多い.また,厚生労働省報告書2)~5)によると,経験年数の短い作業者の災害件数は多く,その中には,若年齢層だけでなく中高年齢層も含まれている.本稿では,経験年数の短い作業者の「はさまれ,巻き込まれ」災害に着目して,年齢層と労働災害要因について多変量解析を行った.その結果,災害要因は,年齢層によって違いがあることが明らかとなった.労働災害防止対策の一つとして,経験年数の短い作業者の年齢層にも配慮した教育や指導が必要である.