箱庭療法学研究
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研究報告
悩みの聴き手の内的体験プロセスの検討
専門家と非専門家の比較から
鈴木 優佳
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ジャーナル 認証あり

2018 年 30 巻 3 号 p. 15-26

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抄録

本研究では,専門家と非専門家の「聴き手」が,悩みを聴く際にどのような内的プロセスをたどるのかを調査した。実験では,12名の臨床心理士の「聴き手」をカウンセリング群として,また12名の大学生の「聴き手」を悩み相談群として,協力者であった12名の大学生の「話し手」から同一の悩みを聴くというロールプレイを実施した後,その過程で考えていたことについて,両群の「聴き手」にインタビューを行った。そのインタビューデータをM-GTAを用いて分析し,「聴き手」は何を考え,イメージしながら聴いているのかという内的プロセスを群ごとに描き出した。そこでみられた専門家の思考プロセスの特徴として,話を聴きながらメタ的視点が存在していること,相手から判断するという思考の柱を主軸としていること,問題そのものの解決だけでなく話し手の生き方にまで視野を広げていく視点をもつこと,象徴性と身体性を特徴としたイメージとして聴くことという4つが見出された。

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© 2018 日本箱庭療法学会
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