産学官連携ジャーナル
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リポート
トーゴ共和国のホストタウンに宮崎県日向市
金岡 保之
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2019 年 15 巻 6 号 p. 18-19

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執筆者紹介

  • 金岡 保之(かなおか・やすゆき)

    宮崎大学 地域資源創成学部 准教授

    一般社団法人日本トーゴ友好協会 設立者兼会長

◆ 一般社団法人日本トーゴ友好協会*1

筆者は東京大学大学院医学系研究科特任研究員、同志社大学国際教育インスティテュート講師、関西学院大学国際連携機構国際教育・協力センター准教授を経て、宮崎大学に着任し、主に「地域の国際化」*2をテーマに、教育や研究に取り組んでいる。

一方、駐日トーゴ共和国大使館の助言により、2011年に日本トーゴ友好協会を設立し、日本になじみのない、西アフリカのトーゴ共和国*3の魅力を日本国民に広報すると同時に、トーゴで人道的支援活動を行っている。

2011年11月に協会を設立し、トーゴの自然、人々の暮らし、歴史、文化、民族などの魅力を通じ、より多くの日本国民に親しみを持ってもらえることを目的として、広報活動を中心に活動してきた。

トーゴは西アフリカに位置し、日本人にとっては遠いイメージがある。しかし、国民性は明るく、平和な国で、コーヒーやカカオ、綿花などの農産物や、リン鉱石などの天然資源にも恵まれているなど、限りない可能性と魅力を備えた国である。「アフリカの笑顔」と呼ばれるトーゴの魅力を多くの日本人に発信していくことが協会の使命である。

また、後発開発途上国*4であるため、社会基盤としてのインフラ整備が急務である。そこで、協会としても、ドナーを募り安全な水の供給や図書の寄贈などの人道的支援を行っている。

2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会におけるホストタウン事業は、スポーツの振興、教育文化の向上および共生社会の実現など、さまざまな分野でレガシー創出につなげることを目的にしている。宮崎県日向市とトーゴで行われるホストタウン事業は、ホストタウンの相手国が少ないアフリカ大陸(54カ国中34カ国が未登録)、中南米(39カ国中18カ国が未登録)*5におけるホストタウンの取り組みの、質の向上および交流の活性化を目指すものである。また、この取り組みによって、地域に共通する課題やノウハウが抽出され、後続団体のモデルとなる事例を創出する効果が期待されている。

◆ 東京オリンピックホストタウン・女性アスリートモデル事業*6(2019年3月6〜10日)

「地域の国際化」の研究の一環で、地域にグローバルインパクトを与えるために、2017年7月に、セダミヌトーゴ共和国臨時代理大使を、金岡研究室*7はJICA(独立行政法人国際協力機構)の協力を得て、語感が似ている宮崎県日向市東郷町に招へいした。地域の国際化を目的に、十屋幸平日向市長とセダミヌ大使の「ひょっとこ踊り(日向市の伝統芸能)」共演ビデオなどを、研究室のホームページなどで公開していたが、内閣官房東京オリパラ推進本部事務局の担当職員が見つけて、ホストタウン締結のきっかけとなった。

日向市が、トーゴのホストタウンになって初めての大型プロジェクトで、日向市、日向市の民間団体や企業、駐日トーゴ共和国大使館、内閣官房東京オリパラ推進本部事務局、日本トーゴ友好協会、トーゴ日本友好協会*8、宮崎大学などが協働し、日向市がトーゴおよび駐日トーゴ大使館から訪問団を招へいした。

日向市を訪問したのは、トーゴ共和国から女性アスリート(マラソン種目)、打楽器演奏のエンターテイナー、トーゴ日本友好協会代表者の3人と駐日トーゴ大使館外交官ら2人の計5人である。

宮崎空港に到着後、宮崎大学を表敬訪問し副学長が応対、大学生や留学生との交流後、日向市に移動し保育園、小学校、高校などの教育機関、日本刀工房、美々津地区、日向市役所(市長表敬訪問、市民交流会)を訪問し、「ひょっとこマラソン」にも出場した。

訪問団の滞在期間中、宮崎大学金岡研究室はプロジェクト期間中の記録を動画撮影し、3カ国語(英語、日本語、フランス語)で、記事やビデオをユーチューブ(YouTube)やフェイスブック(Facebook)などのソーシャルメディアを活用して、アフリカ諸国、次期オリンピック・パラリンピック開催国であるフランスや世界の国々に向けて情報発信した。

西アフリカに位置するトーゴは、日本とは心理的にも距離的にも遠い国である。また、フランス語が公用語のため言葉の壁も大きい。フランス語の通訳を宮崎大学や宮崎県内で探したが困難であったため、マダガスカル出身の宮崎大学留学生(ABEイニシアティブ)がフランス語と英語の通訳で協力してもらった。

写真1

◆ ホストタウン事業のレガシー創出

スタジアムや練習施設などの社会インフラは、ポストオリンピック・パラリンピックにおいては、維持コストの問題や有効活用の問題がある。レガシーの一つは、次世代を担う「グローバル人材」を創出する事であると考える。若い時のグローバル体験は、時には人生を大きく左右することがあることから、このようなグローバルプロジェクトに参加することで、市民や学生がグローバル人材に育つ良い機会となる。

また、ホストタウン事業をきっかけに、宮崎の人々がさらに異文化を受け入れ、多文化共生社会の実現に寄与することができれば幸いである。

本文の注
* 1  2019年5月に一般社団法人に法人化予定。

* 2  「地域の国際化」とは、「地域にグローバルなインパクトを与えることで、地域の国際化を促進させる」という考え。

* 3  トーゴ共和国(トーゴきょうわこく、フランス語: République Togolaise)、通称トーゴは、西アフリカに位置する共和制国家。東にベナン、北にブルキナファソ、西にガーナと国境を接し、南は大西洋のギニア湾に面する。首都はロメ。南部は高温多湿の熱帯性気候。北部はサバナ気候で南部より雨量が少なく、湿度も低い。

* 4  英語表記は、Least developed country、略語:LDC

* 5  2019年4月末時点

* 6  国際オリンピック委員会総会が、オリンピック競技大会への女性の参加率50%の実現、およびオリンピック競技大会への参加機会の拡大を通じて、スポーツへの女性の参加と関与を奨励していることを背景に、この事業が内閣で企画および提案された。この事業は、東京大会への女性アスリートの参加や当該国の女性の社会進出を促すことを目指し、ホストタウン事業における多くの女性選手と市民との積極的でかつ多様な交流を図るものである。

* 7  国立大学法人宮崎大学金岡研究室(英語:Kanaoka Lab.)。

* 8  トーゴ共和国で活動している、トーゴと日本の両国の友好のための団体。通称は太陽の友。

 
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