抄録
労働者の平日1日, 勤務時, および休日1日歩行数と心身の健康との関係:入江正洋ほか.産業医科大学産業生態科学研究所精神健学-仕事中や仕事外などの異なる状況での歩行数と心身の健康との関連性について検討するために, 製造業関係の単一職場の職員334名(男性267名, 女性67名)を対象として万歩計を用いた歩行調査を実施し, 平日1日, 平日勤務時, 休日1日の各状況での歩行数を明らかにするとともに, それぞれの歩行数と健診の各項目結果やGHQ, STAI-X II, SDS, LOC, Type Aなどの心理行動調査結果, ライフスタイル(Breslowの健康習慣), および健康や歩行, 職業に関する様々な心理社会的因子との関連性について分析した.その結果, 健康に良いと思う歩行数よりも予想および実際の歩行数は少なく, 平日, 休日ともに予想歩行数よりも実際の歩行数の方が多かった.歩行数と身体的健康とは, HDLコレステロールの上昇や中性脂肪の低下などにおいてある程度の関連性が認められたが, 心理的因子との関係は定かではなく, 平・休日歩行の別あるいは就業の有無などにより異なっていた.また, 平日の歩行数は概して職種や性別との関連性が深いのに対して, 休日の場合はライフスタイルと関連していることが窮われ, 同じ平日でも1日と勤務時とでは, くつろぎや特性不安, 肝機能(AST)などの点で, 勤務時の方が心身の健康にとって効果的となっていない可能性が示唆された.