産業衛生学雑誌
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調査報告
産業保健師活動に活かされた看護系大学院研究科修士課程(博士前期課程)での学習経験の構造概念化
青山 和加子巽 あさみ
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2017 年 59 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

目的:産業保健師活動に活かされた看護系大学院研究科修士課程(博士前期課程)での学習経験の特徴を明らかにすることは,社会のニーズに応えられる質の高い産業保健サービスを提供していくために意義があると考え,今回,産業保健師活動に活かされた看護系大学院修士課程での学習経験を表す概念を創出し,その特徴を明らかにすることを目的とした.対象と方法:大学院修士課程を修了した者,修了後産業保健師として活動している者,博士課程(博士後期課程)に進学していない者という3つの条件を満たす10名に半構造化面接を行い,舟島なをみによる看護概念創出法を用いた.結果:得られたデータから,512の産業保健師活動に活かされた大学院修士課程での学習経験を表すコードが抽出された.このコードは,69サブカテゴリ,34カテゴリ,5コアカテゴリ(概念)を形成し,すなわち,5つの概念を創出した.5つの概念とは,【専門性の追求と自己への価値づけ】,【人的資源活用に繋がった多様な人との相互理解】,【活動の変革に影響した理論的,学際的な学び】,【科学的根拠に基づく活動に繋がった研究の学び】,【専門性を活かした質の高い活動に繋がった学び】である.考察と結論:大学院修士課程での,産業保健師の専門性を追求し役割認識ができた学習経験と主体的に取り組んだ様々な学習経験の特徴として,修了後の産業保健師活動の中で統合され,質の高い産業保健師活動に活かされていることが明らかになった.本研究において明らかになった大学院修士課程での学習経験は,社会のニーズに応えていくための質の高い産業保健師活動を提供するために必要な学習経験であることが示唆された.

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© 2017 公益社団法人 日本産業衛生学会
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