産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
Print ISSN : 1341-0725
ISSN-L : 1341-0725
調査報告
事業場における化学防護手袋の選択,着用,保守管理等に関する実態調査
加部 勇鶴岡 寛子幸地 勇古賀 安夫江口 将史松井 智美伊藤 理恵徳地谷 洋子宮内 博幸田中 茂
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2017 年 59 巻 5 号 p. 135-143

詳細
抄録

目的:化学物質等による皮膚への障害を予防するために重要な保護具である化学防護手袋の要望・ニーズに関する情報を把握するため,事業場における化学防護手袋の使用等の実態調査を実施した.対象と方法:製造業の国内7事業場で化学防護手袋を使用する作業者およびその管理監督者817人を対象として,2015年9月~10月に化学防護手袋の使用環境・条件・準備選択,教育等,選び方,使い方,使用上の注意・交換時期及び保守管理等に関する調査票(無記名式)を配布,回収した.集計は職位による回答の違いを考慮して,管理監督者と現場作業者に分けて比較検討した.解析にはχ2検定を用いて,5%および1%未満を有意差とした.結果:回答者は,現場作業者が661人(80.9%),管理監督者が121人(14.8%),その他35人(4.3%)だった.化学防護手袋を使用する化学物質は,有機溶剤が70.5%と最も多く,酸・アルカリ28.9%,粉じん18.1%,発がん性物質10.3%の順だった.化学防護手袋を装着する決定理由は,有機溶剤・特定化学物質などの使用が46.5%と最も多く,「SDSに記載されている」が29.8%,「上司・管理監督者の指導」が21.4%だった.「対象作業・取扱い物質」は70.1%(「該当なし」を除くと91.1%)が把握しており,「皮膚及び眼に対する注意警告」は69.5%(91.0%)が表示され,「化学防護手袋の使用理由」の教育は68.1%(90.7%)が受け入ていた.一方,「対象物質の透過試験結果の入手している」,「混合物質は透過時間が短い物質を考慮して選定している」は25.2%(「該当なし」を除くと38.4%),29.2%(48.4%)と「透過試験」に関する項目は低かった.また,管理監督者と現場作業者の比較では,「対象物質の透過試験結果を入手している」が管理監督者27.7%,現場作業者41.2%(p=0.022),化学防護手袋の袖口を「折り返してタレ防止」および「テープで取り付け」では管理監督者各々30.5%,21.8%,現場作業者50.2%(p=0.001),42.2%(p=0.001)と現場作業者が有意に高かった.考察と結論:本調査結果では,化学防護手袋の「透過試験」の知識が産業現場ではまだ普及していないと推察された.今後,化学防護手袋の製造者等から使用する事業者へ「透過試験」に関する知識,普及活動が望まれる.化学防護手袋に関して,管理監督者より現場作業者の方が知識を持っている可能性が示唆された.事業者は,化学防護手袋の保護具着用責任者を選任するとともに,管理監督者は化学防護手袋の正しい知識や使用方法の理解度を上げ,現場作業者を指導する立場になることが期待される.

目的

化学物質等による眼又は皮膚への障害が,化学物質等による職業性疾病全体の約半数を占めている1).化学物質の手指への接触,吸収を防ぐためには,作業環境や作業の改善による根本的な対策を講じることが第一に重要である.しかし,そうした対策が困難な場合や効果が少ない場合には,化学防護手袋を装着し,有害な化学物質から皮膚への曝露を防止する必要があるが,作業者が化学防護手袋を適正使用に関する教育,指導が行われていない事例が多い2,3)

化学防護手袋の材料として,ゴム製(天然ゴム,シリコンゴム,ニトリルゴム,ブチルゴム,ネオプレンゴム,フッ素ゴム,ポリウレタン製,等)とプラスチック類(ポリ塩化ビニル,ポリエチレン,ポリビニルアルコール,エチレン-ビニルアルコール共重合体,等),様々な種類が市販されており,その中から使用する手袋を選定する必要がある2,3).国内では,日本工業規格(JIS)が化学防護手袋の性能を定めている4).また,特定化学物質障害予防規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第172号)による特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)の改正により,経皮吸収対策に係る規制を強化したことに伴い,化学防護手袋の選択,使用等の留意事項が示されている3,5)

一方,化学防護手袋の製造業者が優良・快適保護具を開発,製造するためには,事業場が求める化学防護手袋の改善内容等に関する要望・ニーズの把握が不可欠であるが,事業場における化学防護手袋に関する使用状況等の調査はほとんど行われていない6)

本調査は,化学物質等による皮膚への障害を予防するために重要な保護具である化学防護手袋の要望・ニーズに関する情報を把握するため,事業場における化学防護手袋の使用等のアンケートによる実態調査を実施した結果を報告する.

対象と方法

1. 調査対象

製造業の国内7事業場(栃木2,千葉1,神奈川2,三重1,兵庫1)で化学防護手袋を使用する作業者およびその管理監督者817人を対象として,2015年9月~10月に化学防護手袋の使用環境・条件・準備選択,教育等,選び方,使い方,使用上の注意・交換時期及び保守管理等に関する調査票(無記名式)を配布,回収した.対象の事業場規模は,500人未満が2事業場(28.6%),500以上~1,000未満が2事業場(28.6%),1,000人以上が3事業場(42.8%)であった.

2. 調査項目

質問項目は田中茂編集・著書のCD-ROM2014-2015年版「そのまま使える安全衛生保護具チェックリスト集」7)を参考に,以下の項目とした.

1)回答者の職位・職種

2)取り扱う有害物質の種類(回答選択肢:粉じん,有機溶剤,特定化学物質(酸・アルカリ),特定化学物質(発がん性物質),特定化学物質(金属・その他),鉛,その他)

3)化学防護手袋を装着する決定理由(回答選択肢:作業環境測定結果,個人曝露濃度測定結果,健康診断結果,労働基準監督署の是正・指導,上司や安全管理者・衛生管理者等の指導,有機溶剤や特化物等を使用するから,SDSの記載,その他)

4)使用環境・条件・準備:対象作業・取り扱い物質の把握,皮膚に障害与える化学物質を取扱う作業,取り扱い物質の毒性・危険性(爆発含む)の把握,皮膚及び眼に対する注意警告(表示),曝露限界(許容濃度,TLV)及び管理濃度の確認,有害物質が健康に与える障害の理解,化学物質等による皮膚障害対策の有無,化学物質と接触する作業時間の把握,化学物質の状態の把握(ガス,蒸気,液体,固体),作業場の化学物質の確認方法(回答選択肢:はい,いいえ,該当なし)

5)教育等:作業者に化学防護手袋の教育,化学防護手袋の使用理由,取り扱い物質による疾病,作業に適した化学防護手袋の選択方法,化学防護手袋の交換時期,装着・使用方法,保管・メンテナンス,使用前点検,化学防護手袋の種類と特徴,化学防護手袋の劣化・浸透・透過(同)

6)選び方:JIS T 8116に準拠したもの,作業環境・作業条件に合ったもの,対象物質の透過試験結果,混合物質は透過時間が短い物質を考慮して選定,手の大きさに合ったもの,作業に適した化学防護手袋の周知(同)

7)使い方:使用前点検の実施,保管期間の確認,手袋に傷・破れ等,乾燥状態で保管,予備手袋の用意(同)

8)使用上の注意・交換時期:化学防護手袋の使用上の注意,皮膚にかぶれ等発生時の着用中止,浸透しにくい下履き手袋の使用,摩耗・突刺し・引裂け等した化学防護手袋の交換,軍手等の保護手袋の併用,温度湿度は化学防護手袋の仕様範囲,化学防護手袋の袖口を折り返してタレ防止,化学防護手袋の袖口をテープで取り付け(同)

9)保守・管理:交換基準の設定,高濃度曝露時の早めの交換,定められた場所・方法の廃棄,付着した化学物質が飛散しないように袋に入れて二次曝露を防止,保守・保管方法について指導・励行,直射日光のあたらない場所に保管,高温にならない場所に保管,対象物質が皮膚に付いた場合の手洗い場の設置(同).

3. 解析方法

集計は職位による回答の違いを考慮して,管理監督者と現場作業者に分けて比較検討した.解析にはχ2検定を用いて,有意水準を5%および1%未満とした.

なお,本調査は,十文字学園女子大学倫理審査委員会にて承認(承認日:2015年8月21日,承認番号:2015-015)後,実施した.

結果

1) 回答者属性

職位別では,現場作業者が661人(80.9%),管理監督者が121人(14.8%),その他35人(4.3%)だった.職種別では,製造ライン作業者が63.6%,研究・開発職が13.0%,技術・スタッフが10.9%,その他12.5%だった.

化学防護手袋を使用する化学物質は,有機溶剤が70.5%と最も多く,次いで,酸・アルカリ28.9%,粉じん18.1%,発がん性物質10.3%,金属・その他4.9%,鉛0.9%だった(複数回答).化学防護手袋を装着する決定理由は,有機溶剤・特定化学物質などの使用が46.5%と最も多く,次いで,「SDSに記載されている」が29.8%,「上司・管理監督者の指導」が21.4%,「作業環境測定結果」が9.4%だった(複数回答).

事業場における化学防護手袋の選択,着用,保守管理等に関するアンケート調査結果を表1に示した.

表1. 事業場における化学防護手袋の選択,着用,保守管理等に関する実態調査結果
はい いいえ 該当なし
使用環境・条件・準備
対象作業・取り扱い物質を把握しているか. 70.1% 6.8% 23.1%
特化則第44条に規定する皮膚に障害与える特化物を取扱う作業か. 55.2% 13.8% 31.1%
安衛則第594条に規定する皮膚に障害を与える物を取扱う作業か. 57.2% 12.6% 30.2%
取り扱い物質の特性,毒性,危険性(爆発含む)を把握しているか. 67.5% 8.4% 24.1%
皮膚及び目に対する注意警告(表示)が有るか. 69.5% 6.8% 23.7%
曝露限界(許容濃度,TLV),管理濃度は確認しているか. 37.9% 32.9% 29.2%
その有害物質が健康に与える障害について理解しているか. 65.9% 11.1% 23.0%
化学物質等による皮膚障害は予期せぬ場所,条件で起こる.対策は取られているか. 53.2% 18.9% 27.9%
化学物質と接触する作業時間を把握しているか. 51.5% 23.5% 25.1%
化学物質の状態(ガス,蒸気,液体,固体)を把握しているか. 67.2% 9.0% 23.7%
作業場に存在する化学物質は簡単に知ることができるか. 65.7% 12.0% 22.3%
教育等
作業者に化学防護手袋の使用などについて教育は実施しているか. 65.8% 9.5% 24.7%
  化学防護手袋を使用する理由 68.1% 7.0% 24.9%
  取り扱い物質による疾病に関する教育 61.8% 13.2% 25.0%
  作業に適した化学防護手袋の選択方法 58.6% 15.7% 25.7%
  化学防護手袋の交換時期 47.5% 25.6% 26.9%
  装着・使用方法に関する教育 62.4% 12.2% 25.3%
  保管・メンテナンスに関する教育 49.7% 22.6% 27.7%
作業前に使用前点検を指導,励行しているか. 54.1% 19.8% 26.1%
化学防護手袋の種類と特徴を知っているか. 46.1% 27.9% 26.0%
化学防護手袋の劣化,浸透,透過について知っているか. 43.2% 30.7% 26.2%
選び方
JIS T 8116(化学防護手袋のJIS規格)に準拠したものを選択しているか. 52.5% 13.0% 34.6%
作業環境・作業条件に合った化学防護手袋を選択しているか. 62.1% 8.8% 29.1%
対象物質に対する透過試験結果を入手しているか. 25.2% 40.4% 34.4%
混合した物質では透過時間が短い物質を考慮して選定しているか. 29.2% 31.1% 39.6%
手の大きさに合った化学防護手袋を選定しているか. 53.0% 19.6% 27.4%
作業に適した化学防護手袋がわかるようになっているか. 51.4% 20.1% 28.5%
使い方
作業者に使用前点検を実施させ,又,啓発しているか. 48.4% 22.4% 29.2%
作業開始前に保管期間を確認しているか. 31.8% 37.8% 30.4%
手袋に傷・破れ,引裂き等の破損,著しい汚れはないか. 66.2% 6.8% 27.0%
乾燥状態で保管されているか. 63.6% 8.7% 27.8%
長時間の作業に対しては,予備の手袋を用意しているか. 54.1% 15.7% 30.1%
使用上の注意・交換時期
化学防護手袋の使用上の注意について知っているか. 50.7% 23.4% 25.8%
皮膚にかぶれやかゆみを生じたら,着用をやめているか . 65.6% 5.1% 29.4%
必要に応じて,浸透しにくい下履き手袋をしようしているか. 45.1% 24.7% 30.3%
摩耗,突刺し,引裂け,切創等した化学防護手袋は交換しているか. 68.5% 4.4% 27.1%
必要に応じて,軍手等の保護手袋を併用しているか. 49.9% 18.6% 31.5%
使用時の温度湿度は化学防護手袋の仕様範囲か. 56.6% 9.8% 33.6%
化学防護手袋の袖口を折り返し,化学物質のタレを防止しているか. 30.9% 35.3% 33.8%
必要に応じて,化学防護手袋の袖口をテープで取り付けているか. 25.2% 39.9% 34.8%
保守・管理
化学防護手袋の交換基準を設定しているか. 33.8% 33.7% 32.5%
高濃度に曝露した時は,通常の使用時間より早めに交換しているか. 41.0% 20.7% 38.3%
廃棄する場合,定められた場所,方法で捨てているか. 62.2% 9.5% 28.3%
廃棄する場合,付着した化学物質が飛散しないように袋に入れたりして,二次曝露を防止しているか. 54.2% 15.4% 30.5%
化学防護手袋の保守・保管方法について指導し励行しているか. 49.1% 20.3% 30.5%
直射日光のあたらない場所に保管しているか. 68.1% 6.1% 25.7%
高温(40℃以上)にならない場所に保管しているか. 61.3% 8.8% 29.9%
対象物質が皮膚に付いた場合,手洗い場は設置されているか. 70.4% 4.5% 25.1%

2) 使用環境・条件・準備

化学防護手袋の「使用環境・条件・準備」に関する設問の結果では,「対象作業・取扱い物質」は70.1%(「該当なし」を除くと91.1%,以下同じ)が把握していた.化学防護手袋と必要とする皮膚障害を与える「特化則44条」および「安衛則594条」を使用するという作業者は,55.2%(80.0%),57.2%(82.0%)だった.「取り扱い物質の毒性・危険性」は67.5%(88.9%)が把握していた.「皮膚及び眼に対する注意警告」は69.5%(91.0%)が表示され,「有害物質が健康に与える障害」は65.9%(85.6%)が理解し,「化学物質等による皮膚障害対策」は53.2%(73.8%)と取られていると回答した.「化学物質の状態を把握している」と「作業場の化学物質を簡単に知ることができる」は67.2%(88.1%)と65.7%(84.6%)が「はい」と回答だった.

一方,「許容濃度等の曝露限界,管理濃度」および「化学物質と接触する時間」を「把握している」は,37.9%(53.6%),51.5%(68.7%)とやや低かった.

3) 教育等

「作業者に化学防護手袋の教育」は65.8%(87.4%)が実施されていた.「化学防護手袋の使用理由」,「取り扱い物質による疾病」,「作業に適した化学防護手袋の選択方法」,「化学防護手袋の交換時期」,「装着・使用方法」,「保管・メンテナンス」の教育は,各68.1%(90.7%),61.8%(82.4%),58.6%(78.8%),47.5%(65.0%),62.4%(83.6%),49.7%(68.7%)が受けていた.

「使用前点検の指導・励行」は54.1%(73.2%)がされていた.「化学防護手袋の種類と特徴」,「化学防護手袋の劣化・浸透・透過」は46.1%(62.3%),43.2%(58.5%)が「知っている」と回答した.

4) 選び方

「JIS T 8116に準拠したもの」,「作業環境・作業条件に合ったもの」,「手の大きさに合ったもの」を52.5%(80.2%),62.1%(87.5%),53.0%(73.0%)が選択していた.また,「作業に適した化学防護手袋」は51.4%(71.9%)が周知されていた.一方,「対象物質の透過試験結果を入手している」,「混合物質は透過時間が短い物質を考慮して選定している」は25.2%(38.4%),29.2%(48.4%)と「透過試験」に関する項目は低かった.

5) 使い方

化学防護手袋の「使用前点検」は48.4%(68.4%)が実施・啓発していた.「手袋に傷・破れ,引裂き等の破損,著しい汚れ」は66.2%(90.7%)がなかった.「乾燥状態で保管」,「予備手袋の用意」は63.6%(88.0%),54.1%(77.5%)がされていた.また,「作業開始前に保管期間の確認」は31.8%(45.7%)とやや低かった.

6) 使用上の注意・交換時期

「化学防護手袋の使用上の注意」は50.7%(68.4%)が知っていた.「皮膚にかぶれ等発生時」は65.6%(92.8%)が着用を中止していた.「浸透しにくい下履き手袋」は45.1(64.6%)が使用していた.「摩耗・突刺し・引裂け等した化学防護手袋」は68.5%(94.0%)が交換していた.「軍手等の保護手袋の併用」は49.9%(72.9%)が使用していた.「使用時の温度湿度」は56.6%(85.2%)が化学防護手袋の仕様範囲だった.化学防護手袋の袖口を「折り返してタレ防止」および「テープで取り付け」は30.9%(46.7%),25.2%(38.7%)と低かった.

7) 保守・管理

「化学防護手袋の交換基準を設定している」のは33.8%(50.1%)にとどまった.「高濃度に曝露した時,通常の使用より早めの交換」は41.0%(66.4%)がしていた.

廃棄する場合,62.2%(86.8%)が「定められた場所・方法」で捨てており,54.2%(77.9%)が「付着した化学物質が飛散しないように袋に入れて二次曝露を防止」していた.「化学防護手袋の保守・保管方法」は49.1%(70.7%)が指導・励行していた.「直射日光のあたらない場所」および「高温(40℃以上)にならない場所」に68.1%(91.7%),61.3%(87.4%)が保管していた.「対象物質が皮膚に付いた場合」,70.4%(93.9%)に手洗い場が設置されていた.

8) 職位別

2に「該当なし」を除いた管理監督者と現場作業者に分けた結果を示した.「使用環境・条件・準備」では,「特化則第44条に規定する皮膚に障害を与える特定化学物質を取扱う作業」は管理監督者89.0%,現場作業者78.6%が認識しており,管理監督者が有意に高かった(p=0.030).同様に,「有害物質が健康に与える障害の理解」は同92.3%,84.4%(p=0.049),「化学物質の状態(ガス,蒸気,液体,固体)の把握」は同94.4%,86.9%(p=0.045),「作業場の化学物質を簡単に知ることができる」は同92.2%,83.3%(p=0.031)と管理監督者の方が現場作業者より有意に高かった.

表2. 事業場における化学防護手袋の選択,着用,保守管理等に関する実態調査結果(職位別)
全体 管理監督職 現場作業者 p値
使用環境・条件・準備
対象作業・取り扱い物質を把握しているか. 91.1% 95.6% 90.0% 0.090
特化則第44条に規定する皮膚に障害与える特化物を取扱う作業か. 80.0% 89.0% 78.6% 0.030
安衛則第594条に規定する皮膚に障害を与える物を取扱う作業か. 82.0% 87.1% 81.2% 0.197
取り扱い物質の特性,毒性,危険性(爆発含む)を把握しているか. 88.9% 91.2% 88.8% 0.501
皮膚及び目に対する注意警告(表示)が有るか. 91.0% 94.5% 90.6% 0.226
曝露限界(許容濃度,TLV),管理濃度は確認しているか. 53.6% 53.0% 54.1% 0.857
その有害物質が健康に与える障害について理解しているか. 85.6% 92.3% 84.4% 0.049
化学物質等による皮膚障害は予期せぬ場所,条件で起こる.対策は取られているか. 73.8% 76.8% 73.1% 0.484
化学物質と接触する作業時間を把握しているか. 68.7% 72.7% 68.0% 0.382
化学物質の状態(ガス,蒸気,液体,固体)を把握しているか. 88.1% 94.4% 86.9% 0.045
作業場に存在する化学物質は簡単に知ることができるか. 84.6% 92.2% 83.3% 0.031
教育等
作業者に化学防護手袋の使用などについて教育は実施しているか. 87.4% 92.1% 86.6% 0.147
  化学防護手袋を使用する理由 90.7% 90.9% 90.8% 0.986
  取り扱い物質による疾病に関する教育 82.4% 84.1% 82.2% 0.671
  作業に適した化学防護手袋の選択方法 78.8% 77.0% 79.1% 0.665
  化学防護手袋の交換時期 65.0% 62.4% 66.0% 0.521
  装着・使用方法に関する教育 83.6% 84.1% 83.3% 0.861
  保管・メンテナンスに関する教育 68.7% 65.1% 69.6% 0.411
作業前に使用前点検を指導,励行しているか. 73.2% 75.6% 72.4% 0.546
化学防護手袋の種類と特徴を知っているか. 62.3% 65.1% 61.6% 0.539
化学防護手袋の劣化,浸透,透過について知っているか. 58.5% 66.7% 56.8% 0.091
選び方
JIS T 8116(化学防護手袋のJIS規格)に準拠したものを選択しているか. 80.2% 82.1% 79.8% 0.655
作業環境・作業条件に合った化学防護手袋を選択しているか. 87.5% 91.8% 86.8% 0.204
対象物質に対する透過試験結果を入手しているか. 38.4% 27.7% 41.2% 0.022
混合した物質では透過時間が短い物質を考慮して選定しているか. 48.4% 41.4% 50.4% 0.168
手の大きさに合った化学防護手袋を選定しているか. 73.0% 77.6% 71.7% 0.263
作業に適した化学防護手袋がわかるようになっているか. 71.9% 75.9% 71.1% 0.376
使い方
作業者に使用前点検を実施させ,又,啓発しているか. 68.4% 66.7% 68.4% 0.750
作業開始前に保管期間を確認しているか. 45.7% 34.1% 48.5% 0.017
手袋に傷・破れ,引裂き等の破損,著しい汚れはないか. 90.7% 97.7% 89.3% 0.015
乾燥状態で保管されているか. 88.0% 91.9% 86.9% 0.200
長時間の作業に対しては,予備の手袋を用意しているか. 77.5% 85.2% 76.1% 0.072
使用上の注意・交換時期
化学防護手袋の使用上の注意について知っているか. 68.4% 75.6% 67.3% 0.127
皮膚にかぶれやかゆみを生じたら,着用をやめているか . 92.8% 96.3% 92.0% 0.168
必要に応じて,浸透しにくい下履き手袋をしようしているか. 64.6% 60.8% 65.7% 0.393
摩耗,突刺し,引裂け,切創等した化学防護手袋は交換しているか. 94.0% 97.7% 93.1% 0.108
必要に応じて,軍手等の保護手袋を併用しているか. 72.9% 68.8% 73.9% 0.343
使用時の温度湿度は化学防護手袋の仕様範囲か. 85.2% 87.5% 84.8% 0.532
化学防護手袋の袖口を折り返し,化学物質のタレを防止しているか. 46.7% 30.5% 50.2% 0.001
必要に応じて,化学防護手袋の袖口をテープで取り付けているか. 38.7% 21.8% 42.2% 0.001
保守・管理
化学防護手袋の交換基準を設定しているか. 50.1% 42.0% 51.9% 0.101
高濃度に曝露した時は,通常の使用時間より早めに交換しているか. 66.4% 65.3% 67.2% 0.751
廃棄する場合,定められた場所,方法で捨てているか. 86.8% 88.2% 86.6% 0.676
廃棄する場合,付着した化学物質が飛散しないように袋に入れたりして,二次曝露を防止しているか. 77.9% 81.7% 77.5% 0.397
化学防護手袋の保守・保管方法について指導し励行しているか. 70.7% 71.4% 70.9% 0.926
直射日光のあたらない場所に保管しているか. 91.7% 94.3% 91.3% 0.354
高温(40℃以上)にならない場所に保管しているか. 87.4% 88.0% 86.9% 0.802
対象物質が皮膚に付いた場合,手洗い場は設置されているか. 93.9% 97.7% 93.1% 0.101
%;「該当なし」を除いた「はい」の回答率.
;p<0.05, **;p<0.01.

「選び方」では,「対象物質の透過試験結果を入手している」が,管理監督者27.7%,現場作業者41.2%と現場作業者の方が有意に高かった(p=0.022).

「使い方」では,「作業開始前に保管期間を確認している」が管理監督者34.1%,現場作業者48.5%と現場作業者の方が有意に高かった(p=0.017).「手袋に傷・破れ,引裂き等の破損,著しい汚れはないか」は,管理監督者97.7%,現場作業者89.3%と管理監督者が有意に高かった(p=0.015).

「使用上の注意・交換時期」でも,化学防護手袋の袖口を「折り返してタレ防止」および「テープで取り付け」は管理監督者30.5%,21.8%,現場作業者50.2%(p=0.001),42.2%(p=0.001)と現場作業者が両方とも有意に高かった.

「教育等」および「保守・管理」では,管理監督者と現場作業者に差はみられなかった.

考察

労働衛生保護具に関する産業現場の実態調査の多くは,呼吸用保護具に関して行われているが6,8-10),化学防護手袋に関する国内の産業現場の実態調査の先行研究はみられない.本調査は,本邦初の事業場における化学防護手袋の選択,着用,保守管理等に関する実態調査となった.

化学防護手袋を取扱う製造業の事業場において,「対象作業・取扱い物質」は70.1%(91.1%)が把握しており,「皮膚及び眼に対する注意警告」は69.5%(91.0%)が表示され,「化学防護手袋の使用理由」の教育は68.1%(90.7%)が受けていた.また,「手袋に傷・破れ,引裂き等の破損,著しい汚れ」は66.2%(90.7%)が無く,「摩耗・突刺し・引裂け等した化学防護手袋」は68.5%(94.0%)が交換していた.「直射日光のあたらない場所に保管している」および「対象物質が皮膚に付いた場合,手洗い場は設置されている」は,68.1%(91.7%),70.4%(93.9%)という結果だった.これらは化学防護手袋の管理が良好な点であった.

一方,化学防護手袋の「選び方」の調査結果から「対象物質の透過試験結果を入手している」,「混合物質は透過時間が短い物質を考慮して選定している」は25.2%(38.4%),29.2%(48.4%)と「透過試験」に関する項目は低かった.アメリカの規格(ASTM)及び国際規格(ISO)では浸透試験とともに透過試験を行うことが義務付けられている11,12).我が国の日本工業規格(JIS)でも,1998年JISが改正され透過試験が加わった3,4).しかし,本調査結果では,「透過試験」に関する項目は低く,産業現場ではまだ普及していないと推察された.化学防護手袋の選択に当たっては,取扱説明書等に記載された試験化学物質に対する耐透過性クラスを参考として,作業で使用する化学物質の種類及び当該化学物質の使用時間に応じた耐透過性を有し,作業性の良いものを選ぶ必要がある2,3).2004年に報告された宮内らの研究8)では,市販されている9種の有機溶剤用化学防護手袋を4種の有機溶剤(アセトン,二硫化炭素,トリクロロエチレン,N,N-ジメチルホルムアミド)に透過試験を行った結果,66.1%が5分未満の短時間で透過してしまい,透過試験の重要性が指摘された.宮内らの研究報告から11年経過した本調査時点(2015年)でも,産業現場では透過試験の成績が活用されていないことを示唆された.欧米では,透過試験の基準がISOの改訂前後に行政などからの発信11-13)され,広く普及しているが,日本では1998年JIS改訂から2017年の行政通達2)が出されるまで約20年経った.今後,化学防護手袋の製造者,販売業者や行政から使用する事業者および労働者へ「透過試験」に関する知識普及活動が望まれる.

「使用上の注意・交換時期」の調査結果では,化学防護手袋の袖口を「折り返してタレ防止」および「テープで取り付け」は30.9%(46.7%),25.2%(38.7%)と低かった.化学防護手袋の正しい使い方の教育が必要と思われた.

「作業開始前に保管期間の確認」が31.8%(45.7%),「化学防護手袋の交換基準を設定している」が33.8%(50.1%)と低かった.今まで化学防護手袋の交換時期は明確な基準が無かったが,最近の厚生労働省の行政通達では「化学防護手袋は.当該化学防護手袋の取扱説明書等に掲載されている耐透過性クラス,その他科学的根拠を参考として,作業に対して余裕のある使用時間をあらかじめ設定し,その時間を限度に化学防護手袋を使用させること」2)としている.各事業場で交換時期の基準を決めることも重要ではあるが,化学物質の合理的な管理を推進する観点からは,化学防護手袋の製造者やJIS規格等から一定基準が示されることが望ましい.また,高価な化学防護手袋を頻繁に交換することは不経済であり,単価を下げる等の費用対効果の面からも製造者の創意工夫が必要である.

職位別の調査結果では,「使用環境・条件・準備」の項目は管理監督者の方が高い傾向だった.「化学物質の状態(ガス,蒸気,液体,固体)を把握しているか」の質問は,実際に取り扱っている現場作業者の方が,管理監督者よりも把握しているのではないかと思われたが,管理監督職94.4%,現場作業者86.9%と管理監督者の方が有意に高い結果となった.これは,本調査は大企業で実施したため,監督者は化学物質の管理情報をもっており,「把握している」と答えたのではないかと推察された.

「対象物質の透過試験結果を入手している」が管理監督者27.7%(「該当なし」を除いた「はい」の回答率),現場作業者41.2%,化学防護手袋の袖口を「折り返してタレ防止」および「テープで取り付け」では管理監督者30.5%,21.8%,現場作業者50.2%,42.2%とやや低く,かつ,現場作業者が有意に高かった.この結果は,化学防護手袋に関して管理監督者より現場作業者の方が知識を持っている可能性が示唆された.管理監督者は現場作業者を指導する立場であるので,化学防護手袋の正しい知識や使用方法の理解度を上げ,指導することが望まれる.行政通達では「事業者は,衛生管理者,作業主任者等の労働衛生に関する知識及び経験を有する者のうちから,作業場ごとに化学防護手袋を管理する保護具着用管理責任者を指名し,化学防護手袋の適正な選択,着用及び取扱方法について労働者に対し必要な指導を行わせるとともに,化学防護手袋の適正な保守管理に当たらせること」を指導している2).従来,保護具着用管理責任者は国家検定品の使用を義務付けているろ過式呼吸用保護具の使用作業場置いて設置を義務付けていたが,化学防護手袋にも広がったことは注目すべき点である.

化学防護手袋を装着する決定理由は,有機溶剤・特化物などの使用が46.5%「SDSに記載されている」が29.8%,上司・管理監督者の指導が21.4%,作業環境測定結果が9.4%の順番だった.2015年に報告された「事業場における使い捨て式防じんマスク,取替え式防じんマスク及び防毒マスクの選択,着用,保守管理等に関する実態調査報告」6)では,マスク装着決定理由として「作業環境測定結果」が約5割を占め,最も高かった.吸入曝露防止として呼吸用保護具の装着決定理由と,経皮曝露防止としての化学防護手袋の装着決定理由では異なり,両者の使用目的が認識されているといえよう.保護具着用責任者は,これら化学防護手袋と呼吸用保護具との装着理由の相違点も留意した上で,現場作業者の指導にあたってほしいと考える.

本調査の限界として,回答者の事業場規模は1,000人以上が最多で約40%に達していた.大企業における防護手袋の管理・着用の実態と中小企業の実態では大きく異なる可能性がある.今後,零細・中小企業における個人保護具の管理と教育の実態把握が望まれる.また,質問項目および回答選択肢(「はい」「いいえ」「該当なし」)は田中茂編集・著書のCD-ROM2014-2015年版「そのまま使える安全衛生保護具チェックリスト集」7)から引用した.「該当なし」を入れた意味は,化学防護手袋は粉じん・有機溶剤・金属など多種多様であるため,該当する項目と該当しない項目が想定されたためであった.本調査では,化学防護手袋を使用する職場の作業者および管理監督者を対象としたが,「該当なし」と回答した中に「化学防護手袋を使用していない」という人も含まれていた可能性が推察された.但し,無記名式の調査票なので,詳細は不明である.

オルト-トルイジンによる膀胱癌の発生事例を契機に,化学防護手袋の選定,使用,管理について重要性が注目されている2,3,5,14-17).オルト-トルイジンに対する経皮吸収の推定と吸入曝露による体内摂取量との比較では,手甲と手掌が水に対する飽和溶解度に相当するオルト-トルイジンに化学防護手袋内で皮膚曝露されたと仮定した場合に,経皮吸収量は8時間労働の経気道吸入量よりも約15倍も高い値を示したと報告されている3).従って,オルト-トルイジンのような経皮吸収しやすい発がん性物質に対する労働衛生管理として化学防護手袋の適正着用は極めて重要な要因である.米国国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health;NIOSH)では,「オルト-トルイジンを取り扱う作業者に対して,呼吸用保護具はNIOSHが指定した高性能の呼吸保護具を使用する.」のみならず,「皮膚からの曝露を防止するために,耐透過性の化学防護手袋,保護腕袋,ラボ用保護衣,靴カバーを着用する.これらの保護用具からの漏れに留意する.」という指示を公表し,オルト-トルイジンに関心がある場合にはNIOSH Health Hazard Evaluation(http://www.cdc.gov/niosh/hhe/)に問い合わせることを推奨している17)

今後,中小企業を含めた化学防護手袋に関する透過試験の周知度や保護具着用責任者の活動等を含めた現場調査がさらに必要と考える.

利益相反

本研究において利益相反はありません.

文献
  • 1)  厚生労働省. 化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について. 平成15年8月11日付け基発第0811001号. [Online]. 2003 [cited 2017 Feb. 20]; Available from: URL: http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/hor/hombun/hor1-44/hor1-44-20-1-0.htm
  • 2)  厚生労働省. 化学防護手袋の選択, 使用等について. 平成29年1月12日付け基発0112第6号. [Online]. 2017 [cited 2017 Feb. 20]; Available from: URL: http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170116K0040.pdf
  • 3)   田中  茂. 皮膚からの吸収・ばく露を防ぐ!-オルト-トルイジンばく露による膀胱がん発生から学ぶ-. 中央労働災害防止協会, 2017.
  • 4)  一般財団法人日本規格協会. JIS T 8116: 化学防護手袋. 2005.
  • 5)  厚生労働省. 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び特定化学物質障害予防規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について. 平成28年11月30日付け基発1130第4号
  • 6)  公益社団法人日本保安用品協会保護具等労働安全衛生推進研究会. 事業場における使い捨て式防じんマスク, 取替え式防じんマスク及び防毒マスクの選択, 着用, 保守管理等に関する実態調査報告. 2015
  • 7)   田中  茂. CD-ROM 2014-15年版そのまま使える安全衛生保護具チェックリスト集. 中央労働災害防止協会, 2014.
  • 8)   Miyauchi  H,  Tanaka  S,  Nomiyama  T,  Imamiya  S,  Seki  Y. Comparison of degradation and permeation tests using four organic solvents on chemical protective gloves commercially available in Japan. J Science of Labour 2004; 80 (3): 118-122.
  • 9)  宮城産業保健総合支援センター. 事業場における労働衛生保護具に関する実態調査. [Online]. 1998 [cited 2017 Jan. 30]; Available from: URL: http://www.miyagis.johas.go.jp/research/
  • 10)   相羽 洋子,  青柳 幹治,  名古屋 俊士,  清水 英佑. 屋外作業場における粉じん取扱作業者の呼吸用保護具の使用状況に関する実態調査. 産衛誌 2014; 56 (6): 268-274.
  • 11)  Occupational Safety and Health Administration (OSHA). Personal protective equipment. OSHA 3151-12R. p22-29. [Online]. 2004 [cited 2017 Jan. 30]; Available from: URL: https://www.osha.gov/Publications/osha3151.pdf
  • 12)  International Organization for Standardization (ISO). Protective clothing - Protection against chemicals - Determination of resistance of protective clothing materials to permeation by liquids and gases. ISO 2013; 6529: 2013.
  • 13)  Health and Safety Executive (HSE). Choosing the right gloves to protect skin: a guide for employers. [Online]. 1999 [cited 2017 Mar. 30]; Available from: URL: http://www.hse.gov.uk/skin/employ/gloves.html
  • 14)  公益社団法人日本保安用品協会・日本防護手袋研究会. オルト-イジンに対する化学防護手袋の資料. 2016.
  • 15)  日本防護手袋研究会. オルト-トルイジンに対して化学防護手袋を使用する上でのQ&A. 2016;.
  • 16)  厚生労働省. 化学防護手袋の選択, 使用等に係る参考資料の送付等について. 平成29年1月12日付事務連絡. [Online]. 2017 [cited 2017 Apr. 3]; Available from: URL: http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000151357.pdf
  • 17)  National Institute for Occupational Safety and Health (NIOSH). Ortho-toluidine. [Online]. 2014 [cited 2017 Mar. 31]; Available from: URL: https://www.cdc.gov/niosh/topics/ot/workers.html
 
© 2017 公益社団法人 日本産業衛生学会
feedback
Top