産業衛生学雑誌
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原著
介護施設従業員における主観的健康感と炎症マーカーの関連
井上 由貴子中田 光紀 栗岡 住子永田 智久森 晃爾
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2021 年 63 巻 4 号 p. 117-128

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抄録

目的:主観的健康感は健康状態を自己評価する指標であり,免疫機能と関連することが報告されているが,種類の異なる3つの健康感指標(全般的,過去比較および他者比較)と炎症マーカーの関連ならびに年齢別のそれらの相対的な関連の強さについてはまだ十分に理解できていない.本研究は介護施設従業員を対象に,異なる健康感指標と炎症マーカーとの関連を検討した.対象と方法:介護施設で働く21歳~68歳(平均40.9歳)の職員120名(女性90名,男性30名)を対象に,健康診断に併せて血中炎症マーカー(インターフェロン-γ,インターロイキン[IL]-4,IL-6,腫瘍壊死因子[Tumor Necrosis Factor; TNF]-α,白血球数)を測定すると同時に質問紙により主観的健康感を尋ねた.重回帰分析にて共変量を調整し,40歳未満および40歳以上で層別化を行ったうえで,炎症マーカーと主観的健康感の関連を解析した.結果:全ての潜在的共変量を調整したモデルにおいて,40歳以上の高齢層では,全般的健康感の悪化はIL-6の増加と有意に関連し,40歳未満の若年層では他者比較健康感の悪化はTNF-αの増加と有意に関連した.他者比較健康感の悪化は参加者全体においてもIL-6の増加と有意に関連した.過去比較健康感は炎症マーカーと明確な関連を示さなかった.考察と結論:本研究の結果から,主観的健康感指標の種類が異なれば炎症マーカーとの関連も異なること,特にこれらの関連は,若年層と高齢層に分けて行うことでより明確になることが明らかとなった.これは,健康感指標の相違のみならず年齢も主観的健康感と炎症マーカーの関連を修飾することを示唆する.

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