2022 年 64 巻 1 号 p. 1-11
目的:日本においてトラックドライバーは脳・心臓疾患による過労死や健康起因事故が多い職種である.また,トラックドライバーは,脳・心臓疾患のリスクである高血圧症,肥満,高脂血症,糖尿病に関連する項目の定期健診での有所見率も高い.そこで,トラックドライバーの過労死防止策の立案に向けて,職種の特徴を踏まえた労働生活条件と,脳・心臓疾患に高血圧症,肥満,高脂血症,糖尿病を含めた健康障害,疾患前としての過労状態との関連について検討した.対象と方法:全国のトラックドライバーを対象として,上記の健康障害の既往歴および過労状態を含む,基本属性,生活習慣,働き方,休み方,運転労働の負担について質問紙調査を行った.47都道府県の1,082のトラック運送事業所に5部ずつ合計5,410部を配送し,1,992部を回収した(回収率36.8%).そのうち,女性41人および性別不明4件を除く男性1947人を解析対象とした.労働生活条件と各種健康障害との関連は多重ロジスティック回帰分析を用いて検証した.結果:解析対象トラックドライバーにおいて,肥満は22.2%,高血圧症は19.3%,高脂血症は8.5%,糖尿病は5.6%,心臓疾患は2.5%,脳血管疾患は0.7%,過労状態は6.0%に見られた.多重ロジスティック回帰分析の結果,健康障害の既往歴は,運行形態が長距離2泊以上と地場夜間早朝,勤務日の早朝覚醒有り,休日の過し方が不活発,夜間運転の重い負担と有意な関連が示された.また,過労状態は,勤務日の中途覚醒および睡眠不足感有り,休日の睡眠時間が6時間未満および睡眠不足感有り,ひと月あたりの休日数が0–3日,運転・夜間運転・作業環境の重い負担と有意な関連が示された.考察と結論:トラックドライバーにおける健康障害および過労状態と有意な関連は,夜間・早朝勤務への従事および夜間運転の負担が重いこと,また夜間・早朝勤務に付随する睡眠の量と質の低下に見られた.本研究より,過労死防止策を念頭に置いた勤務の改善点として,夜間運転の負担軽減や,十分な夜間睡眠取得および活動的に過ごすための休日配置の重要性が示唆された.
Objectives: Karoshi problems (overwork-related deaths and disorders caused by cerebrovascular and cardiovascular diseases) still occur in Japan. Truck drivers, who are in one of the riskiest occupations, are reported to show an increased prevalence of hypertension, obesity, hyperlipidemia, and diabetes, which are characteristic of Karoshi. Their health problems also include excessive fatigue. This cross-sectional study aimed to examine the association between work-life factors and health disorders/excessive fatigue among Japanese truck drivers. Methods: We distributed a questionnaire regarding work hours, health status, lifestyle, burden of driving, and excessive fatigue to 5,410 truck drivers and collected a total of 1,947 responses, all from males. The association between work-life factors and health outcomes was evaluated by multivariable logistic regression analysis adjusted for age, drinking, and smoking status. Results: The prevalence rates of obesity, hypertension, hyperlipidemia, diabetes, cardiovascular disease, cerebrovascular disease, and excessive fatigue were 22.2%, 19.3%, 8.5%, 5.6%, 2.5%, 0.7%, and 6.0%, respectively. Significant associations were observed for long-haul trips (two days or more) with obesity (adjusted odds ratio 1.5 [95% Confidence Interval 1.1–2.1]), local and night trips with hypertension (1.5 [1.0–2.2]), early morning awakening on workdays with obesity (1.5 [1.1–2.1]), being indoor-oriented on weekends with hypertension (1.5 [1.1–2.0]); and heavy burden of driving at night with hyperlipidemia (2.0 [1.3–3.0]). The adjusted odds ratios were significant for waking after sleep onset (2.6 [1.2–5.3]) and lack of sleep satisfaction (2.7 [1.4–5.1]) on workdays, less than six hours of sleep (2.8 [1.0–7.8]) and lack of sleep satisfaction (2.8 [1.5–5.2]) on weekends, 0–3 days off per month (3.6 [1.3–10.2]), and heavy burden of driving at night (2.2 [1.0–4.8]) with excessive fatigue. Conclusions: The present findings highlight that night and early morning work, heavy burden of night driving, and the resultant decreases in the quality and quantity of sleep may represent shared risk factors for health disorders and excessive fatigue among truck drivers. Adequate measures should be taken to limit the amount of night and early morning work, reduce the burden of night driving, and ensure days off for sleep opportunities and leisure activities, with the goal of preventing Karoshi.
トラックドライバーは一般人口や他職種と比べて健康障害の多い職種である1,2,3).日本においては業務起因性の脳・心臓疾患での労働災害(以下,過労死)の多発職種の一つがトラックドライバー(貨物自動車運転者)であり,認定数が多いだけでなく労働人口100万人あたりの発生数も運輸業・郵便業の男性で36.1件と全業種平均の11.2件に比して3倍以上も多いことが問題となっている4,5,6).過労死の労災認定においては,現在までのところ長時間労働を中心とした過重負荷の存在が国内外で重視されている7,8,9).また,著者らが一般のトラックドライバーを対象にして行った横断研究では,過重負荷に由来する過労状態(疲労の蓄積)10)が長時間労働や,長時間拘束,夜勤・不規則勤務といった働き方の問題よりも,睡眠時間の短さや休日の少なさといった休み方の問題と関連が強いことが示された11).
その一方で,トラックドライバーの健康状態に起因する事故(健康起因事故)の多さも指摘されている.過労死との関係は不明であるものの,脳・心臓疾患によるものが平成25年から平成29年の5年間で340件あり,そのうち死亡したものは143件に上ることが報告されている12).脳・心臓疾患のリスク要因として知られる上半身肥満,耐糖能異常,高脂血症,高血圧のようないわゆる“死の四重奏”13)に関連する定期健康診断の項目(血圧,血糖,血中脂質,尿検査[糖])の有所見率は,道路貨物運送業で全体平均よりも高く推移し,また年々上昇している14).したがって,トラックドライバーの過労死を予防するためには,過労死に関連する脳・心臓疾患とこれらを引き起こす動脈硬化に関連する高血圧症,肥満,高脂血症,糖尿病7)までを含めた健康障害に注目し,過労状態と並行して働き方と休み方の両面から対策を行うことが有効であると言えよう.
日本のトラックドライバーにおいて,脳・心臓疾患を含む健康障害と過重労働の関連を調べた研究はあるものの3),職種の特徴を踏まえた休み方の問題の報告はトラックドライバーを含む数例の運転労働者の過労死事例研究に見られるのみである15,16,17).そこで本研究では,全国のトラックドライバーの働き方と休み方の実態と,健康障害との関連について検討するとともに,健康障害と過労状態に影響する要因の共通点及び相違点についても検討した.
トラック運送業の事業者団体である全日本トラック協会を通じて,47都道府県トラック協会にそれぞれ20か所の調査対象運送事業所の選定を依頼した.選定の際には,事業規模(従業員数,車両数)や運行形態(地場,長距離)が可能な限り偏らないようにすることを求めた.質問紙調査票は各都道府県トラック協会により選定された1,082事業所に5部ずつ合計5,410部を配送した.調査対象トラックドライバーの選出と質問紙調査票の配布は各事業所が行った.質問紙調査票の送付は2017年6月に行い,調査協力に同意したトラックドライバーには無記名での回答を求めた.
2. 質問紙調査票の項目トラックドライバーの働き方と休み方の実態と健康障害および過労状態との関連を明らかにするための質問項目を選定した.
①基本属性として性別,年齢,トラック運転経験年数,転職経験(前職もトラック運転,別の仕事をしていた,転職歴はない),賃金体系(固定給,固定給と歩合給,歩合給が主体,その他),過去1年間での定期健康診断の受診歴,について回答を求めた.
②生活習慣について,飲酒(飲む,飲まない),喫煙(吸っている,今は吸っていない,もともと吸わない),1日30分を超える運動(行っている,行っていない),勤務日の食事(食事時刻が日によって変わる,深夜に食事・間食をとる,食事量・回数が多い)について回答を求めた.
③働き方は,最近1か月間での時間外労働時間(0–20,21–40,41–60,61–80,81–100時間,101時間以上),夜間・早朝(22~5時にかかる)勤務回数および主に従事している運行形態(地場昼間,地場夜間早朝,長距離1泊,長距離2泊以上)について回答を求めた.
④休み方は,最近1か月間の勤務日と休日の睡眠時間(就床と起床時刻の差より算定)および睡眠の質(なかなか寝付けない,途中で目が覚めて眠れなくなる,早く目が覚めて眠れなくなる,睡眠時間が足りないと感じる),休日日数および主な休日の過ごし方(寝て過ごすことが多い,自宅でゆっくりすることが多い,外出することが多い,運動することが多い)について回答を求めた.
⑤勤務の負担について,トラックドライバーの仕事に関連する運転,荷積み,荷卸し,手待ち時間,夜間運転,早朝運転,温度,湿度,騒音などの作業環境全般(以下,作業環境)の負担を5段階(1.全くない,2.とても軽い,3.やや軽い,4.やや重い,5.とても重い)で回答を求めた.
⑥健康障害について,脳血管疾患と心臓疾患およびリスク要因である高血圧症,肥満(Body Mass Indexが25以上),高脂血症,糖尿病の既往歴(これまで診断されたことがあるもの)の回答を求めた.また,過労状態については4段階(1.週末の休日でだいたい疲労は回復する,2.翌週に前週の疲労を持ちこすことがときどきある,3.翌週に前週の疲労を持ちこすことがよくある,4.翌週に前週の疲労をいつも持ちこしている)で回答を求めた.
3. データ分析方法と統計的検定回答が得られた1,992件(回収率36.8%,全都道府県より最低3事業所15人以上の回答を得た)のうち,少数であった女性41件および性別不明4件を除く男性1,947件(平均年齢46.5±9.1歳,範囲18–79歳)を解析対象とした.調査項目のうち,働き方と休み方について実数で回答を得たものはそれぞれ4群にカテゴリー化を行った.働き方のうち,夜間・早朝勤務は最頻値であった0回を1群として残りを10回区切りでまとめた.休み方のうち,休日数は一週間あたりで,1日未満,1日,2日,3日以上となるようにまとめた.また,勤務日と休日の睡眠時間は過労死認定において考慮される時間7)(疲労が回復するとされる7時間台)を基準として1時間区切りでまとめた.勤務の負担は,段階1の「全くない」から3の「やや軽い」の回答までをまとめて「軽い」,段階4の「やや重い」と5の「とても重い」の回答をまとめて「重い」とした.過労状態は,翌週への疲労の持ち越しに対して,段階1の「だいたい回復する」と2の「ときどきある」回答をまとめて「回復する」,段階3の「よくある」と4の「いつも持ち越す」の回答をまとめて「持ちこす」とした.
過労死認定の際に考慮される働き方・休み方・勤務の負担項目と,健康障害および過労状態の既往歴との関連をχ2 検定またはフィッシャーの正確確率検定を用いて調べ,健康障害および過労状態のそれぞれにおいてp<0.1が示された調査項目を用いて多重ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った.その際に,基準(reference)となる項目を,時間外労働は0–20時間,夜間・早朝勤務は0回,運行形態は地場昼間,勤務日と休日の睡眠時間は7.0–7.9時間,休日数は8–11日として,年齢,飲酒,喫煙を調整したオッズ比(Adjusted Odds Ratio; 以下,aOR)と95%信頼区間(95% Confidence Interval; 以下,95% CI)を算出した.
ロジスティック回帰分析を行う際の目的変数を,健康障害の既往歴[脳血管疾患,心臓疾患,高血圧症,肥満,高脂血症,糖尿病](なし=0,あり=1)と過労状態(回復する=0,持ちこす=1)とした.また,説明変数を,働き方のうち時間外労働時間(0–20時間,21–40時間,41–60時間,61–80時間,81–100時間,101時間以上),夜間・早朝勤務回数(0回,1–10回,11–20回,21回以上),運行形態(地場昼間,地場夜間早朝,長距離1泊,長距離2泊以上),休み方のうち勤務日および休日の睡眠時間(6.0時間未満,6.0–6.9時間,7.0–7.9時間,8.0時間以上),睡眠の質の問題[入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒,睡眠不足感](なし=0,あり=1),休日数(0–3日,4–7日,8–11日,12日以上),休日の過ごし方(外出・運動することが多い=0,寝て過ごす・自宅でゆっくりすることが多い=1),勤務の負担のうち運転労働[運転,荷積み,荷卸し,手待ち時間,夜間運転,早朝運転,作業環境](軽い=0,重い=1)とした.全ての統計的分析には,IBM® SPSS® ver. 25.0 for Windowsを用いた.
4. 倫理的配慮本研究は,労働安全衛生総合研究所研究倫理審査委員会にて審査され,承認を得た上で行った(通知番号:H2824).質問紙調査協力者には文書にて研究目的と内容説明を行い,書面にて同意を得た上で調査票への記入を求めた.記入後の調査票は,回答者自らが専用の返信用封筒に封入した上で提出するように配慮した.
表1に解析対象トラックドライバーの基本属性,生活習慣,働き方,休み方,勤務の負担を示した.
| n=1,947 | n | % | 平均値 (標準偏差) | |
|---|---|---|---|---|
| 基本属性 | 年齢(歳) | 46.5(9.1) | ||
| 39歳以下 | 418 | 21.5% | ||
| 40–49歳 | 809 | 41.6% | ||
| 50–59歳 | 563 | 28.9% | ||
| 60歳以上 | 153 | 7.9% | ||
| トラック運転経験(年) | 19.0(10.4) | |||
| 9年以下 | 800 | 41.1% | ||
| 10–19年 | 596 | 30.6% | ||
| 20–29年 | 385 | 19.8% | ||
| 30年以上 | 153 | 7.9% | ||
| 転職経験 | ||||
| あり(前職もトラック運転) | 951 | 48.8% | ||
| あり(前職はトラック以外) | 830 | 42.6% | ||
| なし | 139 | 7.1% | ||
| 賃金体系 | ||||
| 固定給+歩合給 | 1,004 | 51.6% | ||
| 固定給 | 555 | 28.5% | ||
| 歩合給が主体 | 248 | 12.7% | ||
| その他 | 112 | 5.8% | ||
| 定期健診を受診(1年以内) | 1,899 | 97.5% | ||
| 生活習慣 | 飲酒をする | 1,317 | 67.6% | |
| 喫煙について | ||||
| 吸っている | 1,040 | 53.4% | ||
| 今は吸っていない | 551 | 28.3% | ||
| もともと吸わない | 346 | 17.8% | ||
| 運動習慣がある(週2回以上) | 231 | 11.9% | ||
| 勤務日の食事について | ||||
| 時刻が変わる | 862 | 44.3% | ||
| 回数が変わる | 490 | 25.2% | ||
| 深夜にとる | 280 | 14.4% | ||
| 働き方 | 時間外労働時間/月 | |||
| 0–20時間 | 738 | 37.9% | ||
| 21–40時間 | 401 | 20.6% | ||
| 41–60時間 | 323 | 16.6% | ||
| 61–80時間 | 211 | 10.8% | ||
| 81–100時間 | 84 | 4.3% | ||
| 101時間以上 | 54 | 2.8% | ||
| 夜間・早朝勤務(回)/月 | ||||
| 0回 | 913 | 46.9% | ||
| 1–10回 | 613 | 31.5% | ||
| 11–20回 | 236 | 12.1% | ||
| 21回以上 | 129 | 6.6% | ||
| 運行形態 | ||||
| 地場昼間 | 1,149 | 59.0% | ||
| 地場夜間早朝 | 264 | 13.6% | ||
| 長距離1泊 | 276 | 14.2% | ||
| 長距離2泊以上 | 222 | 11.4% | ||
| 休み方 | 勤務日の睡眠(時間) | 6.7(1.4) | ||
| 6.0時間未満 | 401 | 20.6% | ||
| 6.0–6.9時間 | 476 | 24.4% | ||
| 7.0–7.9時間 | 536 | 27.5% | ||
| 8.0時間以上 | 399 | 20.5% | ||
| 睡眠時間が足りない | 572 | 29.4% | ||
| 途中で目が覚める | 335 | 17.2% | ||
| 早く目が覚める | 334 | 17.2% | ||
| 寝つきが悪い | 212 | 10.9% | ||
| 休日の睡眠(時間) | 8.0(1.6) | |||
| 6.0時間未満 | 85 | 4.4% | ||
| 6.0–6.9時間 | 175 | 9.0% | ||
| 7.0–7.9時間 | 445 | 22.9% | ||
| 8.0時間以上 | 1,128 | 57.9% | ||
| 早く目が覚める | 340 | 17.5% | ||
| 睡眠時間が足りない | 267 | 13.7% | ||
| 途中で目が覚める | 238 | 12.2% | ||
| 寝つきが悪い | 149 | 7.7% | ||
| 休日数(日)/月 | 6.4(2.3) | |||
| 0–3日 | 94 | 4.8% | ||
| 4–7日 | 1,199 | 61.6% | ||
| 8–11日 | 591 | 30.4% | ||
| 12日以上 | 23 | 1.2% | ||
| 休日の主な過し方 | ||||
| 自宅でゆっくりする | 974 | 50.0% | ||
| 外出する | 676 | 34.7% | ||
| 寝て過ごす | 131 | 6.7% | ||
| 運動する | 80 | 4.1% | ||
| 勤務の負担 | 荷積み | 473 | 24.3% | |
| 荷卸し | 451 | 23.2% | ||
| 運転 | 430 | 22.1% | ||
| 作業環境(温度,湿度,騒音) | 411 | 21.1% | ||
| 早朝運転 | 323 | 16.6% | ||
| 手待ち時間 | 306 | 15.7% | ||
| 夜間運転 | 303 | 15.6% |
基本属性の特徴として,年齢は40歳代以上が78.4%を占めたのに対して,トラック運転経験年は20年以上が27.7%であり,トラックドライバー以外の職種からの転職経験が42.6%であった.
生活習慣の特徴は,習慣的に喫煙している者の割合は53.4%,飲酒習慣のある者の割合は67.6%,運動習慣のある者の割合は19.3%であった.勤務日での食事時刻が不規則であると44.3%が回答しており,また深夜に食事をとる者も14.4%いた.
働き方の特徴は,主たる運行が常日勤帯の地場昼間である者が59.0%,それに対して勤務が22時から5時にかかる地場夜間早朝である者が13.6%,夜間早朝時刻帯を含む長時間拘束勤務の長距離1泊である者が14.2%,長距離2泊以上である者が11.4%であった.過労死の労災認定の目安となるひと月あたりの時間外労働時間が101時間以上の者は2.8%,81時間以上を加えると7.1%であった.
休み方の特徴は,勤務日の睡眠時間は平均6.7時間で6時間未満が20.6%いた.休日では平均睡眠時間は8.0時間で,8時間以上が57.9%を占めた.睡眠時間が足りないと回答した者が休日では13.7%であったのに対して,勤務日では29.4%であった.最近1か月間の休日数は6.4日で,一週あたりの休日が1日以下の者が66.4%であった.休日の主な過ごし方は自宅でゆっくりすると回答した者が50.0%で,反対に外出すると回答した者が34.7%であった.
勤務の負担の特徴は,運転労働の中で負担が重いと回答した割合の高い作業は荷積みが24.3%,荷卸しが23.2%,運転が22.1%,作業環境が21.1%と続いた.日勤帯から外れる時間帯での早朝運転や夜間運転は,それぞれ16.6%と15.6%のドライバーで負担が重いと回答した.
表2に,働き方・休み方・勤務の負担項目別の健康障害および過労状態の既往歴の割合とχ2 検定またはフィッシャーの正確確率検定結果を示した.健康障害は既往歴が多い順に並べた.肥満は22.2%,高血圧症は19.3%,高脂血症は8.5%,糖尿病は5.6%が既往歴有と回答した.また,他の疾患に比して少数だが心臓疾患は2.5%,脳血管疾患は0.7%が既往歴有りと回答した.それに対して,週末の休日でも疲労が回復せずに翌週によく・いつも持ち越すとした過労状態を訴えたドライバーの割合は6.0%であった.χ2 検定およびフィッシャーの正確確率検定の結果,表2のすべての調査項目において,健康障害および過労状態のいずれかと有意な関連が認められたため,全項目を用いたロジスティック回帰分析を行った.
| 肥満 | 高血圧症 | 高脂血症 | 糖尿病 | 心臓疾患 | 脳血管疾患 | 過労状態 | |||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| n | % | p値 | n | % | p値 | n | % | p値 | n | % | p値 | n | % | p値 | n | % | p値 | n | % | p値 | |
| 全体 | 432 | 22.2% | 376 | 19.3% | 165 | 8.5% | 109 | 5.6% | 48 | 2.5% | 14 | 0.7% | 116 | 6.0% | |||||||
| 働き方 | |||||||||||||||||||||
| 時間外労働/月 | |||||||||||||||||||||
| 0–20時間 | 167 | 22.6% | .187 | 171 | 23.2% | .009 | 68 | 9.2% | .524 | 53 | 7.2% | .099 | 21 | 2.8% | .844 | 6 | 0.8% | .493 | 29 | 4.0% | .007 |
| 21–40時間 | 85 | 21.2% | 80 | 20.0% | 29 | 7.2% | 15 | 3.7% | 9 | 2.2% | 5 | 1.2% | 19 | 4.8% | |||||||
| 41–60時間 | 75 | 23.2% | 50 | 15.5% | 29 | 9.0% | 19 | 5.9% | 6 | 1.9% | 0 | 0.0% | 22 | 6.9% | |||||||
| 61–80時間 | 34 | 16.1% | 33 | 15.6% | 18 | 8.5% | 7 | 3.3% | 6 | 2.8% | 2 | 0.9% | 16 | 7.6% | |||||||
| 81–100時間 | 15 | 17.9% | 11 | 13.1% | 10 | 11.9% | 3 | 3.6% | 1 | 1.2% | 1 | 1.2% | 5 | 6.1% | |||||||
| 101時間以上 | 16 | 29.6% | 7 | 13.0% | 2 | 3.7% | 4 | 7.4% | 2 | 3.7% | 0 | 0.0% | 8 | 15.1% | |||||||
| 夜間・早朝勤務回数/月 | |||||||||||||||||||||
| 0回 | 190 | 20.8% | .447 | 168 | 18.4% | .585 | 69 | 7.6% | .241 | 52 | 5.7% | .916 | 17 | 1.9% | .034 | 5 | 0.5% | .014 | 41 | 4.5% | .008 |
| 1–10回 | 138 | 22.5% | 119 | 19.4% | 50 | 8.2% | 35 | 5.7% | 24 | 3.9% | 4 | 0.7% | 37 | 6.1% | |||||||
| 11–20回 | 56 | 23.7% | 48 | 20.3% | 27 | 11.4% | 11 | 4.7% | 3 | 1.3% | 1 | 0.4% | 17 | 7.3% | |||||||
| 21回以上 | 34 | 26.4% | 30 | 23.3% | 13 | 10.1% | 8 | 6.2% | 2 | 1.6% | 4 | 3.1% | 15 | 11.7% | |||||||
| 運行形態 | |||||||||||||||||||||
| 地場昼間 | 223 | 19.4% | .002 | 209 | 18.2% | .075 | 91 | 7.9% | .146 | 62 | 5.4% | .702 | 26 | 2.3% | .735 | 6 | 0.5% | .052 | 61 | 5.4% | .068 |
| 地場夜間早朝 | 67 | 25.4% | 66 | 25.0% | 29 | 11.0% | 17 | 6.4% | 8 | 3.0% | 5 | 1.9% | 25 | 9.6% | |||||||
| 長距離1泊 | 71 | 25.7% | 55 | 19.9% | 29 | 10.5% | 19 | 6.9% | 9 | 3.3% | 2 | 0.7% | 14 | 5.1% | |||||||
| 長距離2泊以上 | 64 | 28.8% | 39 | 17.6% | 14 | 6.3% | 11 | 5.0% | 5 | 2.3% | 0 | 0.0% | 14 | 6.4% | |||||||
| 休み方 | |||||||||||||||||||||
| [勤務日]睡眠時間 | |||||||||||||||||||||
| 6.0時間未満 | 100 | 24.9% | .247 | 65 | 16.2% | .046 | 40 | 10.0% | .641 | 26 | 6.5% | .187 | 12 | 3.0% | .161 | 4 | 1.0% | .859 | 37 | 9.4% | <.001 |
| 6.0–6.9時間 | 97 | 20.4% | 82 | 17.2% | 40 | 8.4% | 20 | 4.2% | 7 | 1.5% | 3 | 0.6% | 39 | 8.3% | |||||||
| 7.0–7.9時間 | 112 | 20.9% | 106 | 19.8% | 44 | 8.2% | 25 | 4.7% | 10 | 1.9% | 4 | 0.7% | 16 | 3.0% | |||||||
| 8.0時間以上 | 97 | 24.3% | 93 | 23.3% | 30 | 7.5% | 28 | 7.0% | 14 | 3.5% | 2 | 0.5% | 15 | 3.8% | |||||||
| [勤務日]入眠困難 | |||||||||||||||||||||
| なし | 372 | 21.4% | .023 | 338 | 19.5% | .588 | 144 | 8.3% | .428 | 100 | 5.8% | .364 | 43 | 2.5% | .915 | 14 | 0.8% | .387 | 91 | 5.3% | <.001 |
| あり | 60 | 28.3% | 38 | 17.9% | 21 | 9.9% | 9 | 4.2% | 5 | 2.4% | 0 | 0.0% | 25 | 12.0% | |||||||
| [勤務日]中途覚醒 | |||||||||||||||||||||
| なし | 360 | 22.3% | .736 | 306 | 19.0% | .420 | 134 | 8.3% | .574 | 90 | 5.6% | .949 | 39 | 2.4% | .774 | 13 | 0.8% | .487 | 77 | 4.8% | <.001 |
| あり | 72 | 21.5% | 70 | 20.9% | 31 | 9.3% | 19 | 5.7% | 9 | 2.7% | 1 | 0.3% | 39 | 11.8% | |||||||
| [勤務日]早朝覚醒 | |||||||||||||||||||||
| なし | 334 | 20.7% | .001 | 297 | 18.4% | .027 | 126 | 7.8% | .021 | 90 | 5.6% | .937 | 39 | 2.4% | .767 | 13 | 0.8% | .487 | 83 | 5.2% | .001 |
| あり | 98 | 29.3% | 79 | 23.7% | 39 | 11.7% | 19 | 5.7% | 9 | 2.7% | 1 | 0.3% | 33 | 9.9% | |||||||
| [勤務日]睡眠不足感 | |||||||||||||||||||||
| なし | 290 | 21.1% | .071 | 277 | 20.1% | .148 | 113 | 8.2% | .529 | 77 | 5.6% | .996 | 33 | 2.4% | .773 | 8 | 0.6% | .255 | 36 | 2.6% | <.001 |
| あり | 142 | 24.8% | 99 | 17.3% | 52 | 9.1% | 32 | 5.6% | 15 | 2.6% | 6 | 1.0% | 80 | 14.1% | |||||||
| [休日]睡眠時間 | |||||||||||||||||||||
| 6.0時間未満 | 22 | 25.9% | .412 | 13 | 15.3% | .440 | 7 | 8.2% | .252 | 3 | 3.5% | .718 | 2 | 2.4% | .624 | 0 | 0.0% | .830 | 13 | 15.7% | <.001 |
| 6.0–6.9時間 | 37 | 21.1% | 33 | 18.9% | 22 | 12.6% | 11 | 6.3% | 2 | 1.1% | 1 | 0.6% | 20 | 11.6% | |||||||
| 7.0–7.9時間 | 89 | 20.0% | 97 | 21.8% | 39 | 8.8% | 22 | 4.9% | 13 | 2.9% | 4 | 0.9% | 20 | 4.5% | |||||||
| 8.0時間以上 | 264 | 23.4% | 214 | 19.0% | 90 | 8.0% | 66 | 5.9% | 26 | 2.3% | 8 | 0.7% | 57 | 5.1% | |||||||
| [休日]入眠困難 | |||||||||||||||||||||
| なし | 394 | 21.9% | .311 | 356 | 19.8% | .058 | 154 | 8.6% | .618 | 104 | 5.8% | .215 | 44 | 2.4% | .783 | 14 | 0.8% | .618 | 96 | 5.4% | <.001 |
| あり | 38 | 25.5% | 20 | 13.4% | 11 | 7.4% | 5 | 3.4% | 4 | 2.7% | 0 | 0.0% | 20 | 13.6% | |||||||
| [休日]中途覚醒 | |||||||||||||||||||||
| なし | 367 | 21.5% | .042 | 326 | 19.1% | .479 | 144 | 8.4% | .837 | 93 | 5.4% | .421 | 42 | 2.5% | .953 | 12 | 0.7% | .685 | 86 | 5.1% | <.001 |
| あり | 65 | 27.3% | 50 | 21.0% | 21 | 8.8% | 16 | 6.7% | 6 | 2.5% | 2 | 0.8% | 30 | 12.8% | |||||||
| [休日]早朝覚醒 | |||||||||||||||||||||
| なし | 344 | 21.4% | .071 | 288 | 17.9% | .001 | 126 | 7.8% | .029 | 85 | 5.3% | .197 | 36 | 2.2% | .164 | 13 | 0.8% | .486 | 82 | 5.2% | .001 |
| あり | 88 | 25.9% | 88 | 25.9% | 39 | 11.5% | 24 | 7.1% | 12 | 3.5% | 1 | 0.3% | 34 | 10.1% | |||||||
| [休日]睡眠不足感 | |||||||||||||||||||||
| なし | 374 | 22.3% | .844 | 323 | 19.2% | .810 | 140 | 8.3% | .575 | 99 | 5.9% | .156 | 41 | 2.4% | .859 | 12 | 0.7% | 1.000 | 65 | 3.9% | <.001 |
| あり | 58 | 21.7% | 53 | 19.9% | 25 | 9.4% | 10 | 3.7% | 7 | 2.6% | 2 | 0.7% | 51 | 19.4% | |||||||
| 休日日数/月 | |||||||||||||||||||||
| 0–3日 | 16 | 17.0% | .674 | 20 | 21.3% | .887 | 7 | 7.4% | .822 | 10 | 10.6% | .157 | 2 | 2.1% | .886 | 0 | 0.0% | .788 | 10 | 10.8% | .099 |
| 4–7日 | 270 | 22.5% | 227 | 18.9% | 99 | 8.3% | 64 | 5.3% | 30 | 2.5% | 10 | 0.8% | 73 | 6.1% | |||||||
| 8–11日 | 130 | 22.0% | 119 | 20.1% | 56 | 9.5% | 31 | 5.2% | 15 | 2.5% | 4 | 0.7% | 27 | 4.6% | |||||||
| 12日以上 | 5 | 21.7% | 4 | 17.4% | 2 | 8.7% | 2 | 8.7% | 0 | 0.0% | 0 | 0.0% | 2 | 9.1% | |||||||
| 休日の過し方 | |||||||||||||||||||||
| 寝て過ごす・自宅で ゆっくりすることが多い | 244 | 22.1% | .917 | 249 | 22.5% | <.001 | 97 | 8.8% | .648 | 60 | 5.4% | .946 | 31 | 2.8% | .312 | 10 | 0.9% | .154 | 72 | 6.6% | .132 |
| 外出・運動することが多い | 179 | 21.9% | 121 | 14.8% | 67 | 8.2% | 45 | 5.5% | 17 | 2.1% | 3 | 0.4% | 40 | 4.9% | |||||||
| 勤務の負担 | |||||||||||||||||||||
| 運転 | |||||||||||||||||||||
| 軽い | 317 | 21.4% | .082 | 289 | 19.5% | .987 | 119 | 8.0% | .150 | 79 | 5.3% | .449 | 32 | 2.2% | .068 | 11 | 0.7% | 1.000 | 40 | 2.7% | <.001 |
| 重い | 109 | 25.3% | 84 | 19.5% | 44 | 10.2% | 27 | 6.3% | 16 | 3.7% | 3 | 0.7% | 73 | 17.1% | |||||||
| 荷積み | |||||||||||||||||||||
| 軽い | 323 | 22.4% | .793 | 287 | 19.9% | .423 | 125 | 8.7% | .784 | 81 | 5.6% | .659 | 36 | 2.5% | .840 | 14 | 1.0% | .028 | 48 | 3.4% | <.001 |
| 重い | 103 | 21.8% | 86 | 18.2% | 39 | 8.2% | 24 | 5.1% | 11 | 2.3% | 0 | 0.0% | 66 | 14.0% | |||||||
| 荷卸し | |||||||||||||||||||||
| 軽い | 331 | 22.4% | .610 | 295 | 20.0% | .205 | 129 | 8.7% | .615 | 86 | 5.8% | .342 | 37 | 2.5% | .727 | 12 | 0.8% | .541 | 52 | 3.6% | <.001 |
| 重い | 96 | 21.3% | 78 | 17.3% | 36 | 8.0% | 21 | 4.7% | 10 | 2.2% | 2 | 0.4% | 60 | 13.4% | |||||||
| 手待ち時間 | |||||||||||||||||||||
| 軽い | 361 | 22.6% | .301 | 303 | 19.0% | .433 | 129 | 8.1% | .083 | 84 | 5.3% | .117 | 33 | 2.1% | .023 | 13 | 0.8% | .712 | 73 | 4.6% | <.001 |
| 重い | 61 | 19.9% | 64 | 20.9% | 34 | 11.1% | 23 | 7.5% | 13 | 4.2% | 1 | 0.3% | 39 | 12.9% | |||||||
| 夜間運転 | |||||||||||||||||||||
| 軽い | 340 | 21.2% | .009 | 301 | 18.8% | .344 | 120 | 7.5% | <.001 | 86 | 5.4% | .191 | 34 | 2.1% | .026 | 10 | 0.6% | .258 | 58 | 3.7% | <.001 |
| 重い | 85 | 28.1% | 64 | 21.1% | 42 | 13.9% | 22 | 7.3% | 13 | 4.3% | 4 | 1.3% | 55 | 18.3% | |||||||
| 早朝運転 | |||||||||||||||||||||
| 軽い | 345 | 21.7% | .113 | 314 | 19.7% | .211 | 129 | 8.1% | .213 | 89 | 5.6% | .990 | 37 | 2.3% | .414 | 13 | 0.8% | .487 | 61 | 3.9% | <.001 |
| 重い | 83 | 25.7% | 54 | 16.7% | 33 | 10.2% | 18 | 5.6% | 10 | 3.1% | 1 | 0.3% | 51 | 15.9% | |||||||
| 作業環境 | |||||||||||||||||||||
| 軽い | 329 | 21.6% | .290 | 302 | 19.9% | .237 | 126 | 8.3% | .645 | 79 | 5.2% | .146 | 34 | 2.2% | .177 | 12 | 0.8% | .747 | 51 | 3.4% | <.001 |
| 重い | 99 | 24.1% | 71 | 17.3% | 37 | 9.0% | 29 | 7.1% | 14 | 3.4% | 2 | 0.5% | 60 | 14.8% | |||||||
p値:χ2 検定またはフィッシャーの正確確率検定
表3に,ロジスティック回帰分析により健康障害と過労状態に有意な関連が認められた項目を示した.
| 肥満 | 高血圧症 | 高脂血症 | 糖尿病 | 心臓疾患 | 脳血管疾患 | 過労状態 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 調整オッズ比 (95% 信頼区間) | p値 | 調整オッズ比 (95% 信頼区間) | p値 | 調整オッズ比 (95% 信頼区間) | p値 | 調整オッズ比 (95% 信頼区間) | p値 | 調整オッズ比 (95% 信頼区間) | p値 | 調整オッズ比 (95% 信頼区間) | p値 | 調整オッズ比 (95% 信頼区間) | p値 | |
| 働き方 | n.s. | n.s. | n.s. | n.s. | n.s. | |||||||||
| 運行形態 | ||||||||||||||
| 地場昼間 | 1.0(ref) | 1.0(ref) | ||||||||||||
| 地場夜間早朝 | 1.3(0.9–1.8) | .130 | 1.5(1.0–2.2) | .039 | ||||||||||
| 長距離1泊 | 1.3(0.9–1.8) | .128 | 1.1(0.7–1.6) | .702 | ||||||||||
| 長距離2泊以上 | 1.5(1.1–2.1) | .025 | 1.1(0.7–1.7) | .759 | ||||||||||
| 休み方 | n.s. | n.s. | n.s. | n.s. | ||||||||||
| [勤務日]中途覚醒あり | 2.6(1.2–5.3) | .011 | ||||||||||||
| [勤務日]早朝覚醒あり | 1.5(1.1–2.1) | .015 | ||||||||||||
| [勤務日]睡眠不足感あり | 2.7(1.4–5.1) | .003 | ||||||||||||
| [休日]睡眠時間 | ||||||||||||||
| 6.0時間未満 | 2.8(1.0–7.8) | .042 | ||||||||||||
| 6.0–6.9時間 | 1.2(0.5–3.1) | .693 | ||||||||||||
| 7.0–7.9時間 | 1.0(ref) | |||||||||||||
| 8.0時間以上 | 0.8(0.4–1.6) | .463 | ||||||||||||
| [休日]睡眠不足感あり | 2.8(1.5–5.2) | .001 | ||||||||||||
| 休日日数/月 | ||||||||||||||
| 0–3日 | 3.6(1.3–10.2) | .015 | ||||||||||||
| 4–7日 | 1.1(0.6–2.2) | .712 | ||||||||||||
| 8–11日 | 1.0(ref) | |||||||||||||
| 12日以上 | 3.3(0.5–23.5) | .233 | ||||||||||||
| 休日の過し方が不活発 | 1.5(1.1–2.0) | .004 | ||||||||||||
| 勤務の負担 | n.s. | n.s. | n.s. | n.s. | n.s. | |||||||||
| 運転の負担が重い | 2.9(1.4–5.8) | .003 | ||||||||||||
| 夜間運転の負担が重い | 2.0(1.3–3.0) | .001 | 2.2(1.0–4.8) | .049 | ||||||||||
| 作業環境の負担が重い | 2.1(1.1–3.9) | .027 | ||||||||||||
p値:多重ロジスティック回帰分析(強制投入法)
オッズ比(95% 信頼区間):年齢,飲酒,喫煙を調整済み
投入変数:
肥満:運行形態,勤務日睡眠(入眠困難,早朝覚醒,睡眠不足感),休日睡眠(中途覚醒,早朝覚醒),勤務の負担(運転,夜間運転)
高血圧症:時間外労働時間/月,運行形態,勤務日睡眠(睡眠時間,早朝覚醒),休日睡眠(入眠困難,早朝覚醒),休日の過し方
高脂血症:勤務日睡眠(早朝覚醒),休日睡眠(早朝覚醒),勤務の負担(手待ち時間,夜間運転)
糖尿病:時間外労働時間/月
心臓疾患:夜間・早朝勤務回数/月,勤務の負担(運転,手待ち時間,夜間運転)
脳血管疾患:夜間・早朝勤務回数/月,運行形態,勤務の負担(荷積み)
過労状態:時間外労働時間/月,夜間・早朝勤務回数/月,運行形態,勤務日・休日の睡眠(睡眠時間,入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒,睡眠不足感),休日日数/月,勤務の負担(運転,荷積み,荷卸し,手待ち時間,夜間運転,早朝運転,作業環境)
働き方では,運行形態にのみ有意な関連が認められた.運行形態のうち,長距離2泊以上と肥満(調整オッズ比1.5 [95%信頼区間1.1–2.1]),地場夜間早朝と高血圧症(1.5 [1.0–2.2])に有意な関連が示された.
休み方では,勤務日の睡眠における中途覚醒,早朝覚醒,睡眠不足感,および休日の睡眠時間,睡眠不足感,ひと月あたりの休日日数,過ごし方の不活発さに有意な関連が認められた.勤務日の睡眠において,早朝覚醒は肥満(1.5 [1.1–2.1])と関連した.また,中途覚醒と睡眠不足感は過労状態と関連した(2.6 [1.2–5.3], 2.7 [1.4–5.1]).休日において,不活発な過ごし方と高血圧症(1.5 [1.1–2.0]),睡眠6時間未満と過労状態(2.8 [1.0–7.8]),睡眠不足感と過労状態(2.8 [1.5–5.2]),ひと月あたりの休日数が0–3日と過労状態(3.6 [1.3–10.2])の関連が認められた.
勤務の負担では,運転,夜間運転,作業環境に有意な関連が認められた.夜間運転の重い負担と高脂血症(2.0 [1.3–3.0])の関連が認められた.また,運転の重い負担(2.9 [1.4–5.8]),夜間運転の重い負担(2.2 [1.0–4.8]),作業環境の重い負担(2.1 [1.1–3.9])のいずれも過労状態と関連した.
本研究は,トラックドライバーへの効果的な過労死予防策を明らかにするため,男性1,947件の質問紙調査結果を用いて,労働生活条件と健康障害および過労状態との関連について解析を行った.トラックドライバーにおける健康障害および過労状態との関連が示された項目は,働き方では運行形態,休み方では勤務日と休日の睡眠の質の低下,休日の睡眠時間と休日日数と過ごし方,勤務の負担では,運転・夜間運転・作業環境の負担が重いことであった.
1. 働き方による健康障害リスク働き方では,健康障害との関連が運行形態に見られた.トラックドライバーにおいて脳・心臓疾患のリスク要因である肥満と高血圧症の既往歴が多く,夜間・早朝時刻帯に勤務に拘束される長距離2日以上と地場夜間早朝との関連が示された.運行形態と肥満の関連については,昼夜にわたって仕事に拘束されてしまう長距離ドライバーでは食事の不規則さや食事内容の偏りが多くなり18),深夜の食事摂取による体重増加19)や肥満20)が避けられないかもしれない.夜勤と高血圧症の関連は先行研究において明確な関連が示されていないものの,勤務時間帯が移動する交代勤務と高血圧症の関連は認められており21),健康障害は運転労働にしばしば見られる働く時間の不規則さと関連する可能性が示唆された.加えて,本研究では,高脂血症と夜間運転の負担が重いこととの関連が見られた.これまでの知見で,血清総コレステロールが14年間の追跡において日勤者に比して夜勤を含む交代勤務者で20%~45%増大すること22)からも,夜間・早朝勤務への従事が健康障害と関連することは間接的に支持されたと考えられる.
本研究では働き方と心臓疾患と脳血管疾患の直接的な関連は明らかにされなかったものの,夜間・早朝勤務と脳・心臓疾患の関連は実際の過労死労災事案の解析においても指摘されている.トラックドライバーの支給事案に見られた運行形態は,夜間・早朝時刻帯を含むケースが28.4%,長距離のケースが25.3%を占めていた23).また,3つのシステマティックレビューにおけるメタアナリシスの結果では,それぞれ夜勤・交代勤務への従事が心臓疾患の発症リスクと関連しており(心筋梗塞24):RR 1.23, 95%CI 1.15–1.31,冠動脈疾患25):RR1.26, 95%CI 1.10–1.43,虚血性心疾患26):RR 1.13, 95%CI 1.08–1.20),従事する期間が長くなるほど発症リスクが増大する量的な影響を示した.そのうち1つの研究では,夜勤・交代勤務への従事そのものが脳血管疾患のリスク(脳梗塞24):RR 1.05, 95%CI 1.01–1.09)であることも示された.以上より,過労死防止策を考える際には,夜間・早朝勤務に対する個々の心理的な負担感や健康状態を踏まえた上で,夜間運転の負担軽減が求められるだろう.
2. 休み方による健康障害リスク本研究では,働き方だけでなく勤務に関連する睡眠の質や休日の過ごし方といった休み方の問題も示された.肥満は長距離2泊以上の運行とともに睡眠の質の悪さを表す勤務日の早朝覚醒とも関連が見られた.勤務日の早朝覚醒は睡眠時間の抑制や不規則な睡眠タイミングにもつながることから,レビュー研究において指摘されるように長距離運行による慢性的な睡眠抑制,糖代謝の問題,食事や活動量の変容を介して肥満の既往歴と関連することが示唆された27,28).また,高血圧症は休日の過ごし方が寝て過ごす・自宅でゆっくりすることが多いこととの関連が見られた.この関連は,習慣的な運動を伴わず休日の座位時間が長いと高血圧を含むメタボリックシンドロームリスクを高めるという報告29)でも見られ,本研究では運動習慣のあるドライバーが国民健康・栄養調査30)における一般人口に比して少なかったことからも裏付けられた.
高血圧症と休日を寝て過ごす・ゆっくりすることの関連は,単に睡眠時間が長いことが疾病防止にならないかもしれないことを示唆している.先行研究では,疫学調査において高血圧と関連した睡眠時間は7時間未満31)から5時間未満32,33)と範囲が広く,これらの短時間睡眠に加えて睡眠障害(入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒等)が血圧上昇リスクを高めることが示されている34,35).本研究ではトラックドライバーの睡眠時間が勤務日と休日で差が大きく,休日の睡眠時間で7時間未満が少なかったことから,高血圧症と睡眠の関連を見えにくくした可能性が考えられた.
肥満と高血圧症は,どちらも働き方では夜間・早朝勤務との関連が示されており,勤務日の睡眠における早朝覚醒も運行パターンの影響を受けていることがうかがえた.早朝覚醒は睡眠維持の困難とも言い換えることができるが,実際に夜間・早朝勤務では就床・起床時刻が日勤とは大きく異なり,睡眠時間が短縮されて睡眠の質が低下することが知られている36,37).また高血圧症と休日の過ごし方の関連においても,先行研究では休日に外出志向の看護師に比して睡眠・在宅志向では疲労度が高くて回復も遅いという知見があり,休日の過ごし方に加えて交代勤務制の違いにより疲労度の高さが変わることを示した38).これらの知見は,本研究での休み方における早朝覚醒や休日の過ごし方が,働き方と表裏を成すことを示しており,休み方と健康障害の関連からも過労死防止策においては夜間・早朝勤務に注目する必要性がうかがえた.
3. 健康障害と過労状態でのリスク要因の違い過労状態と関連が見られた項目は休み方における勤務日と休日の睡眠量および質,休日日数,運転の負担の重さであった.過労状態のリスク要因は,健康障害と共通して,夜間運転の負担が重いことが見られた.反対に異なる点は,過労状態は勤務日と休日の睡眠不足感や,休日の6.0時間未満の睡眠,ひと月あたりの休日数が0–3日のような,休み方のうち量的な項目と関連が見られたことであった.これは,健康障害が過去のすべての既往歴をたずねていることや,平均年齢の高い集団であったことなど長期的な影響を捉えていることに対して,過労状態は週末においても蓄積した疲労が回復しないという相対的に短期的な影響を捉えていることに由来すると考えられた.しかし,過労対策の要点が健康障害と同様に夜間運転の負担軽減にあることは明らかであり,疲労を蓄積させないためにはとくに休日の睡眠不足や休息機会の確保に注意を払う必要性が示された.
4. 本研究の限界上述の通り,本研究は多人数のトラックドライバーを対象に複数の視点から健康障害状況を調べた一方で,いくつかの限界を有している.健康障害の既往歴等の健康状態については自己申告による調査であったことから結果的に一部の疾患のサンプル数が少なく,トラックドライバーの不規則な働き方や休み方の問題の特徴を客観的に捉えられなかったと考えられる.したがって,デジタルタコグラフ等による勤怠データの収集や客観的な睡眠測定,健康診断の情報を活用した調査が今後の課題である.また,横断調査であったため,健康障害の発症と働き方・休み方との因果関係については言及できない.本研究で同定されたリスク要因の長期的なばく露の影響について,縦断調査による検討も求められる.なお,今回の調査は日本全国のトラックドライバーが参加したとは言え,既往歴等一部のサンプルに偏りが見られたため,結果の一般化には注意を要する.
トラックドライバーの健康障害(脳血管疾患,心臓疾患,肥満,高血圧症,高脂血症,糖尿病)には,夜間・早朝勤務への従事とその負担の重さが,睡眠や休日の質を介して関連することが示された.本研究結果から考えられる,トラックドライバーの過労死防止策を念頭に置いた勤務の改善点として,働き方では夜間運転の負担軽減,休み方では夜間睡眠と活動的な休日の取得機会を増やすことの重要性が示唆された.
本研究の結果をトラックドライバーの過労死対策に応用するために,今後は現場介入的な手法によって夜間・早朝勤務下での過労状態および健康障害リスクを低減する夜勤配置と適正な睡眠・休養配置の基準を明らかにする必要がある.
本研究は厚生労働省の労災疾病臨床研究事業費補助金(150903-01)による,研究課題名「過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働安全衛生研究」で行われた.
利益相反自己申告:申告すべきものなし