産業衛生学雑誌
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訪問看護師の夜間オンコール業務と負担感および睡眠への影響
菊地 由紀子石井 範子
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キーワード: visiting nurse, on-call, burden, sleep
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 16-003-E

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抄録

目的

本研究は、訪問看護師の夜間のオンコール業務による負担感および睡眠への影響を明らかにすることを目的とした。

方法

訪問看護師614人に対して質問紙調査を行い、対象の概要、夜間オンコールの担当状況、オンコール担当による精神的負担感、身体的負担感、睡眠の状況を調査した。オンコール担当日と非担当日の睡眠の状況を比較し、また、オンコール担当による負担感や睡眠の状況に影響する要因を検討するために、『精神的負担あり』『身体的負担あり』睡眠の状況『不良』を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った。

結果

有効回答であった187人を分析対象とした(有効回答率30.5%)。オンコールを担当することを、81.3%が精神的に負担に感じており、69.4%が身体的に負担に感じていた。オンコール担当日は非担当日に比べ、睡眠時間は短く、中途覚醒回数が多かった。また睡眠の深さ、良眠感、すっきり感、睡眠満足感、入眠困難感の得点が悪化していた。オンコール担当による負担感や睡眠の状況に影響する要因を検討した結果、1ヶ月のコールを受けた回数が3回以上で、『精神的負担あり』および『身体的負担あり』の年齢調整後のオッズ比がそれぞれ2.51(95%信頼区間:1.05-6.00)、2.44(95%信頼区間:1.20-5.00)で、有意に高かった。

結論

1ヶ月のコールを受けた回数が3回以上で精神的負担および身体的負担を感じる者が多いことが明らかになった。オンコール担当日は非担当日に比べて睡眠の状況が悪いことがわかった。オンコール担当に対する手当、および休息や休日を適切に設ける必要があることが示唆された。

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