産業衛生学雑誌
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休職者に対する復職時の就業上の配慮と支援は有用か:「復職ガイダンス2017」における定性的システマティックレビューと推奨
能川 和浩小島原 典子
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論文ID: 17-029-A

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抄録

目的:休職中の労働者が復職するときに、就業上の配慮として軽減業務が産業医から指示されることは多い。例えば、時短勤務で復職すると休職期間が短縮する、業務負荷を軽減すると復職後の再休職が低下するなど、就業上の配慮は復職後の就業アウトカムを向上させる効果はあるのだろうか。我々は、産業保健現場からの疑問に対してGrading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation (GRADE) アプローチを採用して定性的システマティックレビューを行い、日本の産業保健現場において活用できる推奨を作成することを目的とした。

方法:「科学的根拠に基づく産業保健における復職ガイダンス(復職ガイダンス2017)」のレビュークエスチョンのひとつとして「P:私傷病で休職中の労働者に対して、I:復職時の就業上の配慮は、C:通常ケアと比べて、O:休職期間の短縮など就業上のアウトカムを向上させるか」が公募より選定された。復職時の就業上の配慮として、時短勤務などの軽減業務に関する介入研究について、Cochrane Library 、PubMed、医中誌Webを用いて文献検索を行った。632件の無作為化比較試験(Randomized controlled trial; RCT)、またはコホート研究が抽出されたが、既存のシステマティックレビューは検索されなかった。復職ガイダンス策定委員会がスコープで決定した選択基準、除外基準に従い、2名が独立して文献スクリーニングを行った。介入研究は、RevMan5.3を用いてバイアスリスクの評価を行い、観察研究のバイアスリスクは、Newcastle-Ottawa scale で評価した。GRADEPro GDTを用いて、バイアスリスク、非一貫性、非直接性、不精確、出版バイアスなどからエビデンス総体の確実性の評価を行った。GRADEのEvidence to Decisionを採用して、推奨作成グループの無記名投票により推奨作成を行った。

結果:筋骨格系障害による休職者に対する時短勤務または、軽減作業に関する3研究(RCT1件、コホート研究2件)が抽出されたが、統合できるアウトカムはなかった。メタアナリシスは行わなかったが、定性的システマティックレビューの結果より、時短勤務が休職期間を短くし、軽減作業が再休職率を下げる可能性があることが示唆された。推奨作成グループで検討し、休職中の労働者に対して、復職時に就業上の配慮を行うことが筋骨格系障害において推奨された。 (低いエビデンスに基づく弱い推奨)

考察と結論:今回の結果は、産業保健体制の異なる海外の筋骨格系障害からの休職者に対する研究の定性的システマティックレビューによるものである。今後、我が国における、メンタルヘルス不調などほかの疾患に関する比較研究、費用対効果などのエビデンスを蓄積させていくことが求められる。

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