産婦人科の進歩
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症例報告
5年間放置され直腸腟瘻を形成した腟内異物の1症例
福井 里香梅本 雅彦辻 勲塩田 充星合 昊
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キーワード: 腟内異物, 直腸腟瘻
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2004 年 56 巻 3 号 p. 293-297

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抄録

 患者は19歳の未婚女性で,0経妊0経産.14歳時に腟内にプラスチック製の約12cmの棒状異物を挿入された.問診上,挿入された経緯については不明であった.19歳時パートナーができたため,腟内異物抜去希望にて他医産婦人科受診した.他医にてMRI検査の結果,腟内異物の直腸内への穿孔が疑われたため当院を紹介された.当科において大腸内視鏡検査を行い,後腟円蓋部から直腸上部への穿通が確認された.入院後は中心静脈栄養を開始し,術前1週間の絶食の後,全身麻酔下にて経腟的に異物抜去を試みた.異物は長径約12cmのプラスチック製のアイスクリームの棒であった.先端部位が直腸内に穿通しており,中間の傘の部分が後腟円蓋にとどまって肉芽に包埋されていた.術後は31日間絶食とし,注腸造影により造影剤の漏出のないことを確認した後,経口摂取を開始した.本症例はその後性交可能となり,妊娠,出産に至った.
 われわれが検索しえた治療目的以外の腟内異物により瘻孔を形成した報告例は自験例を含めて10例であった.その内訳は膀胱腟瘻6例,直腸腟瘻3例,尿道腟瘻1例である.年齢は20歳未満が6例と半数を超えている.挿入動機が成人では自慰目的やいたずらであることが多いのに対して,年少者では不明であることがほとんどである.本症例は5年間放置されていたが,他の直腸腟瘻形成例はいずれも4年間放置されていた.
 今回われわれは5年間放置され直腸腟瘻を形成した腟内異物を経験した.また加療後性交可能となり妊娠,出産に至った稀有な症例を経験したので報告した.〔産婦の進歩56(3):293-297, 2004(平成16年8月)〕

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© 2004 近畿産科婦人科学会
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