産婦人科の進歩
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症例報告
先天性副腎皮質過形成(21-水酸化酵素欠損症 塩類喪失型)の妊娠分娩の1症例
佐藤 紀子塩路 光徳久保田 哲山下 美智子高橋 良子藤谷 真弓蒲池 圭一辻江 智子徳平 厚
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2012 年 64 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

先天性副腎皮質過形成(congenital adrenal hyperplasia; CAH)は,先天性酵素欠損により副腎皮質の過形成,男性化徴候,性腺機能障害などを引き起こす常染色体劣性遺伝疾患である.CAHのなかで最も多い21-水酸化酵素欠損症は,幼児期から男性化徴候を示す単純男性化型と出生直後より低ナトリウム血症,高カリウム血症などの電解質異常をきたす塩類喪失型の2種類に大別される.21-水酸化酵素欠損症の女性では男性化徴候や性腺機能障害などにより不妊を呈する場合が多く,なかでも塩類喪失型の女性は単純男性型に比べ,結婚率,妊娠率ともに低く,21-水酸化酵素欠損症 塩類喪失型の女性の妊娠分娩の症例報告は少ない.今回われわれは21-水酸化酵素欠損症 塩類喪失型の女性で,妊娠中明らかな母体合併症を起こすことなく周産期管理できた症例を経験したので報告する.症例は生後1ヵ月に21-水酸化酵素欠損症 塩類喪失型と診断され,副腎皮質ステロイド(以下,ステロイド)の投与を受けていた.6歳時に外陰部形成術,11歳時に遊離小腸を利用した腟形成術を行っている.ベタメタゾン1mg/日,フルドロコルチゾン酢酸エステル0.1mg/日でコントロール良好の状態で自然妊娠にて妊娠成立し,当科受診.妊娠経過は順調で,ステロイドの維持量を変更することなく,血圧,血中電解質とも正常で易疲労感や悪心などの副腎不全症状も出現しなかった.妊娠38週,腟形成術後のため選択的帝王切開術を施行した.児は2694g,アプガースコア 1分後8点,5分後9点の正常男児であった.術中に副腎クリーゼ予防のためステロイドカバーを行った.分娩後は母児ともに順調に経過し,産褥7日目に退院となった.〔産婦の進歩64(1):49-53,2012(平成24年2月)〕

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© 2012 近畿産科婦人科学会
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