産婦人科の進歩
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症例報告
先天性血栓性血小板減少性紫斑病合併妊娠の1症例
脇本 裕澤井 英明坂 佳世和田 龍原田 佳世子武信 尚史田中 宏幸柴原 浩章
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2013 年 65 巻 3 号 p. 295-301

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抄録

血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura;TTP)は,細血管障害性溶血性貧血,血小板減少,腎機能障害,動揺性精神神経症状,発熱の5症候からなる重篤な全身性疾患である.TTP患者の妊娠は非常にまれで,妊娠管理は母児ともに困難とされている.今回われわれは先天性TTP患者が妊娠し,分娩まで管理を行った例を経験したので報告する.症例は32歳の初産婦で,幼少期にTTPと診断され治療されてきた.今回は自然妊娠したため当科を受診した.TTPの増悪の可能性等を説明したが妊娠継続の意思が強く,当科で管理を行うこととなった.妊娠20週ごろから胎児発育不全傾向を認め,血圧も上昇傾向で収縮期血圧が180mmHg 以上となり妊娠23週5日に管理入院とした.入院安静のみでは十分な降圧が得られず,ヒドララジンの点滴投与を開始した.妊娠24週2日に再び収縮期血圧が180mmHg 以上と上昇し,Caブロッカーの投与を行ったが降圧が不十分であり,超音波検査で臍帯血流の途絶を認めたため,緊急帝王切開術を行った.児は412gの男児でApgar score4/6で出血量は400gであった.母体は新鮮凍結血漿(FFP)やCaブロッカーを中心とした降圧剤の投与により状態は改善し,手術後24日目に退院となった.児は壊死性腸炎等を併発し,生後235日目で死亡した.〔産婦の進歩65(3):295‐301,2013(平成25年8月)〕

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© 2013 近畿産科婦人科学会
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