産婦人科の進歩
Online ISSN : 1347-6742
Print ISSN : 0370-8446
ISSN-L : 0370-8446
原著
当科におけるMSI-High婦人科がんに対するペムブロリズマブの使用経験および治療効果と好中球/リンパ球比の関係
田村 年規濵西 潤三千草 義継山ノ井 康二砂田 真澄堀江 昭史山口 建万代 昌紀
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 75 巻 1 号 p. 10-15

詳細
抄録

本邦において2018年にMSI-High固形がんに対して,抗PD-1抗体ペムブロリズマブが薬事承認されたが,本邦における婦人科がんに対する治療効果や有害事象に関係する報告は少ない.そこで当科においてMSI-Highの婦人科がんに対してペムブロリズマブを投与した患者背景,治療効果,有害事象および治療経過と末梢血中の好中球/リンパ球比(neutrophil-to-lymphocyte ratio;NLR)との関係について後方視的に評価した.その結果,再発婦人科がん128例のうちMSI検査陽性率は9.4%(12例)であり,ペムブロリズマブを投与した8例の年齢中央値は71歳,最良治療効果は,完全奏効(CR)1例,部分奏効(PR)3例,増悪(PD)3例,評価不能1例で奏効率は50%(4/8例)であった.また無増悪期間(PFS)中央値は10カ月,奏効例の奏効持続期間(DRR)中央値は12.5カ月であった.有害事象は,関節痛1例,浮腫1例,視力低下1例,皮膚掻痒感1例を認め,いずれもgrade 1であった.また8例のうち6例では,治療効果や腫瘍マーカーと末梢血中のNLRの変化が連動していた.本結果よりMSI-High婦人科がんに対してペムブロリズマブの一定の有効性と安全性を確認するとともに,NLRの変化を評価することで治療効果を推測する補助診断に有用となる可能性が示された.〔産婦の進歩75(1):10-15,2023年(令和5年2月)〕

著者関連情報
© 2023 近畿産科婦人科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top