山陽論叢
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妊婦が希望する妊娠中の母乳育児支援 : 初産婦と経産婦の比較
井上 理絵富岡 美佳梅崎 みどり流 舞衣
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2016 年 22 巻 p. 1-9

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抄録

母乳育児には様々な利点があることが知られているが、母乳育児の確立や継続のためには周囲からの支援が必要である。特に母乳育児継続のための環境として、医療者の支援体制は重要な要因の一つとされている。本研究では、妊婦が希望する母乳育児支援の内容と実際に受けている支援の内容を調査し、初産婦と経産婦が求めている支援の内容を明らかにすることを目的とした。その結果、希望する産後の栄養方法は初産婦、経産婦ともに母乳栄養が最も多く、約70%の妊婦が希望していた。妊娠中に指導を受けた母乳育児支援の割合は初産婦に比べ経産婦のほうが少なかった。しかし、経産婦であっても妊娠中に育児指導を希望しえいる割合は高く、特に「妊娠中の異常」、「産後の乳房ケア」については8割以上が希望しており、その他の項目も6割以上が希望していた。一方、初産婦が希望する妊娠中の育児指導は「産後の乳房ケア」、「分娩の準備」が最も多く、次いで「妊娠経過の流れ」、「分娩の時期」であった。初産婦・経産婦ともに産後の母乳育児に関心が高いことがわかった。経産婦は初産婦に比べ前回の経験があるため、指導が省略される傾向にあるが、実際には初産婦と同様に指導を求めているという結果が明らかとなり、ニーズを踏まえた指導の重要性が示唆された。

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© 2016 山陽学園大学・山陽学園短期大学
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