山陽論叢
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中学生の職場体験学習における幼児の対人行動
権田 あずさ
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2020 年 26 巻 p. 151-160

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抄録

【目的】中学生の職場体験学習中に,幼児が中学生とどのように関わり,他児に対してどのような行動を表出しているのかを明らかにし,幼児にとって中学生と交流することにどのような意義があるかについて明らかにすることを目的とした。 【方法】岡山県O市内のA幼稚園の4歳児クラスに属する園児のうち,研究の同意が得られた園児19名(男児13名,女子6名)に対し,対象者と非関与の自然観察法による観察を行った。なお,本クラスには,職場体験学習のためにA幼稚園に訪れた中学2年生の女子生徒が1名配属されていた。 【結果】(1)職場体験学習中における,幼児の中学生への働きかけの60分あたりの生起回数は6.9回であった。(2)職場体験学習中における,幼児の向社会的な「共有」,「勧誘」,「笑顔」の表出は体験後よりも多かった(共有:t = 1.86,p < 0.1,勧誘:t = 2.32,p < 0.01,笑顔:t = 3.22,p < 0.01)。(3)幼児が中学生に働きかける内容は,主として「誇示・主張」や「勧誘」,「共同注意の促し」であった。(4)中学生に働きかけた幼児の多くは,体験後に教師への働きかけが多く観察された。

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© 2020 山陽学園大学・山陽学園短期大学
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