山陽論叢
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看護基礎教育におけるアクティビティケアのプロセスと内容
大賀 由花
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 27 巻 p. 1-16

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抄録

わが国の65歳以上の高齢者人口は、2040年には35.3%になることが見込まれ、高齢者が趣味や生きがいなどを実行できる状態を維持できることが期待される。本研究では、今後の看護基礎教育における高齢者看護学に活用することを目的として、アクティビティケアのプロセスとその内容に関する文献研究を行った。医学中央雑誌Web版にて「アクティビティケア」としてキーワード検索を行い、得られた文献を精読し、最終的に10編の文献を研究対象とした。対象論文を精読し、アクティビティケアの効果、得られた知見、アクティビティケアに関する今後の課題についてデータを抽出し、質的統合法(KJ法)を参考に、データからラベル作成、グループ編成、図解化にて質的な統合を試みた。その結果、帰納的に「計画」「実践」「確認」「評価」というPDCAサイクルを表す結果となった。「計画」において、【アクティビティケアの基礎知識の修得】【環境調整】【対象理解】【認知症高齢者の看護】【援助者自身の理解】という多くの知識や情報を得ることが特徴として挙げられた。また、「確認」において、【対象者の変化】【ADL/QOLの向上】【援助者の変化】が<対象者と援助者の心的融和>と<コミュニケーションの促進>を生み出し、【相乗効果による心的融和の促進】から【主体的学習行動】へ結ばれ、これらが相互に影響し合い好循環を生み出していることが推察された。また、アクティビティケアの内容としては、個々の対象者の特性や選好に添ったケアであることを考慮し、「その人らしさ」を尊重するケアとして個別アクティビティの観点から生活全般を整え、活動を支援するケアが求められていると推察された。

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© 2021 山陽学園大学・山陽学園短期大学
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