抄録
本研究は,堆肥化過程で発生する発酵熱をバイナリ発電の高熱源として利用するための知見を得るものである。発酵熱の回収は,堆肥の底部から空気を吸引して発酵を促進する吸引通気式堆肥化方式でおこなった。乳牛100頭規模の酪農家に設置された実規模吸引通気式堆肥化システムにバイナリ発電装置を接続して,堆肥化施設で得られた60 ℃程度の発酵排気を高熱源としたときの発電特性を明らかにすることを目的とした。その結果,発電前後で水を加温する施設レイアウトがより発電効率が高く,216 MJ/h(60 kW 相当)の発酵排気熱量を用いて,最大で700 W 以上の発電が可能であった。堆肥原料切り返し時の温度低下により発電が停止するものの,発電継続時間は堆肥の切り返し間隔3日間で60時間程度であった。