生物物理化学
Online ISSN : 1349-9785
Print ISSN : 0031-9082
ISSN-L : 0031-9082
シンポジウムII:電気泳動を基礎にした臨床プロテオミクス最近の話題
蛍光二次元電気泳動法を用いた骨軟部肉腫の個別化医療のためのバイオマーカー開発
窪田 大介末原 義之菊田 一貴金子 和夫川井 章近藤 格
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 56 巻 1 号 p. 25-29

詳細
抄録

骨軟部肉腫は,骨や筋肉などの間質より発生する悪性腫瘍である.小児や若年成人に発生し予後不良な転機をたどることが多く,予後改善のための研究は臨床的に重要である.また骨軟部肉腫は病理学的に50種類以上の組織型に複雑に分類されている.組織型によって予後や治療感受性が異なるため,骨軟部肉腫の治療成績改善のためには鑑別診断や予後予測,治療奏効性予測などのバイオマーカーの開発が必要である.我々は,主に蛍光二次元電気泳動法を用いて,骨軟部肉腫のタンパク質発現を網羅的に解析し,臨床応用を目指したバイオマーカーの開発を行っている.本稿では,消化管間質腫瘍の予後予測マーカーの開発とその発現検証試験の成果,および骨肉腫の化学療法奏効性予測マーカーの開発について紹介する.これらのバイオマーカーにより新たな治療戦略の策定および個別化医療の推進が可能となり,患者のQOL・治療成績改善に大きく寄与する事が期待される.

著者関連情報
© 2012 日本電気泳動学会
前の記事 次の記事
feedback
Top