生物物理化学
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Immobiline gel 等電点電気泳動によるヒト Transferrin の microheterogeneity
金丸 育恵牧野 義彰紺野 邦夫
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1985 年 29 巻 3 号 p. 205-210

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抄録

immobiline gel 等電点電気泳動によるヒト Transferrin の microheterogeneity を検討した. 精製したヒト血清TFをpH5.0~6.0の範囲で immobiline gel による等電点電気泳動すると異なる等電点を持つ4つの分画に分離, 泳動された. 各々の等電点は, 酸性側からA: pI5.15~5.19, B: pI5.26~5.30, C: pI5.37~5.42, D: pI5.50~5.54であった. また, 6M Urea 電気泳動からA-D分画は, 全て diferric TFであることが確認された. 精製TFのA-D分画の割合は, A:B:C:D=1:3:5:1であった. 細胞表面に存在するTF receptor へのA-D分画の結合は, 阻害実験によって調べると著明な差は見られなかった. 正常ヒト血清を直接等電点電気泳動し, 抗血清中で immunofixation を行なうとA~D分画に相当する沈降線が得られたので, 正常ヒト血清中にも同じ鉄含量で等電点を異にするTF分画が存在する事が示唆された.

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© 日本電気泳動学会
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