生物物理化学
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楔型のアガロースゲルを用いる電気泳動実験法
島尾 和男
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1991 年 35 巻 4 号 p. 279-283

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抄録

傾けたフィルムにアガロース溶液を流すことにより楔型のゲルを簡単に作製できることを墨汁を含ませたゲルのデンシトメトリーにより確認し, このゲルを用いるゾーン電気泳動と等電点電気泳動を行った. ゾーン電気泳動ではゲルの厚いほうに向かって電気泳動するとゾーンの濃縮効果により, 速く泳動する成分のゾーンの分解能が改良されることを理論的に示すとともに血清蛋白質の電気泳動 (pH8.6, μ0.045のバルビタール-N-メチル-D-グルカミン緩衝液) のプレアルブミンとアルブミン分画について実証した. 等電点電気泳動法では平板ゲルに比べて, 分画像は薄いところでは拡大, 厚いところでは縮小されることを, 広域両性担体 (Sepaline, pH3.5-10, 富士写真フイルム) を用いる血清蛋白質の等電点電気泳動により示した. すなわち楔型のゲルを用いることにより平板ゲルで分画像の拡大した部分に該当するpH域の両性担体を添加するのと同じ効果がえられる.

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© 日本電気泳動学会
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