生物物理化学
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ヒトゲノム解析におけるキャピラリー電気泳動の役割
遠藤 勲養王田 正文
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1996 年 40 巻 3 号 p. 135-140

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抄録

ヒトゲノム解析プロジェクトの目的は, ヒトの設計図であるヒトゲノムの全配列を解明することである. 現在, ヒトゲノムのマッピングがほぼ終了し, ヒトのcDNA解析やモデル生物のゲノム解析が著しい速度で進められている. しかし, ヒトゲノムは約30億塩基という膨大な配列を有するので, 西暦2005年終了という目的を達成するには技術的なブレイクスルーが不可欠であるといわれ, 様々な新しい遺伝子配列決定法が提案されている. しかし, 現在までのところ従来からの方法であるジデオキシ法を凌ぐ方法は開発されていない. ジデオキシ法による解析の高速化には種々の課題があるが, それらの課題の多くを解決する方法としてキャピラリー電気泳動が期待されている. しかし, 残念ながら現在までのところ, キャピラリー電気泳動はゲノム解析にほとんど貢献していない. ゲノム解析研究者とキャピラリー電気泳動研究者が協力し, できるだけ早い時期にキャピラリー電気泳動を用いたシークエンサーを実用化し, ゲノム解析に貢献することが期待されている.

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© 日本電気泳動学会
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