日本化粧品技術者会誌
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非侵襲法による生理老化と光老化の皮膚内部ダメージの新評価
川畑 (岸) 真理絵土屋 順子山川 弓香宮前 裕太尾崎 幸洋
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2009 年 43 巻 1 号 p. 26-35

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抄録
老化現象は外的要因による光老化と内的要因による生理老化とに大きく分けられる。われわれは,光老化と生理老化それぞれの進行度合いを非侵襲で同時に評価する方法の開発を目指した。23~69歳の女性86名の光暴露部位である前腕外側部と非暴露部位である上腕内側部を,近赤外拡散反射 (NIR-DR) 分光法により測定した。NIR-DRスペクトルの1670~1820 nmと2000~2230 nmの波長領域を用いて主成分分析 (PCA) を施したところ,皮膚内部における光老化と生理老化それぞれの進行度合いを定量化できることが示唆された。光老化に伴い,タンパク質の構造変化を示す2050 nm (アミドA+II) 付近でのピークシフトが確認されたため,光老化の進行度合いとしてタンパク質の変性を捉えたことが考えられる。一方,生理老化に伴い,タンパク質の1680 nmピーク強度の減少がみられたため,生理老化の進行度合いとしてコラーゲンなどに代表されるタンパク質の減少を捉えたことが考えられる。このように,NIR-DR分光法とPCAにより,光老化と生理老化の進行度合いをタンパク質の変性と減少として非侵襲で評価できる可能性を見出した。
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© 2009 日本化粧品技術者会
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