日本化粧品技術者会誌
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原著
ラメラ相コーティングパウダーファンデーションの開発
堀江 亘坂﨑 ゆかり
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2016 年 50 巻 2 号 p. 120-127

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抄録

パウダーファンデーションが引き起こす乾燥感の原因として,水溶性成分が配合されていないため保湿性に劣ること,粉体が皮脂を吸油するため閉塞性が低下することが考えられる。乾燥感という課題に対して,保湿性を付与し,皮脂吸油を抑制する手段として,水を含有したラメラ相でパウダーファンデーションをコーティングすることが有効ではないかと考えた。レシチンは皮脂の影響を受けにくい含水ラメラ相を形成した。得られたラメラ相と粉体を物理的に混合する乾式法でサンプルを調製したとき,均一なコーティング状態は得られなかった。一方,揮発溶媒を用いた湿式法で調製すると,均一なコーティンング状態が得られた。ラメラ相によるコーティングは皮脂の吸油を低下させ,閉塞効果を高めることが,in vitro試験からわかった。ラメラ相コーティングファンデーションは油剤のみでコーティングしたものと比較し,角層水分量を上昇させる効果が高く,また,官能評価から乾燥感が少ないことが確認できた。さらに水溶性有効成分を内包させたラメラ相で粉体をコーティングしたとき,有効成分の角層へのデリバリー効果が高まることが確認された。

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