日本化粧品技術者会誌
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原著
ビデオマイクロスコープを用いた顔面の毛穴解析
─方向性と力学的異方性との関連─
樋口 美雪北原 清志清水 佳代子平井 克彦松本 俊高橋 元次
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2017 年 50 巻 4 号 p. 321-328

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抄録

顔面の毛穴に関してはこれまでに多くの研究例があり,その形状に関するものや,大きさ(主に開口部の面積)と年齢,生理周期,皮脂量,紫外線量との関連性などが報告されている。しかし,毛穴形状を楕円近似したときの顔面各部位における長軸の方向(毛穴の方向性)やそれと皮膚力学的特性との関連を調べた研究は少ない。そこで,われわれは市販の毛穴形状解析ソフトを用い,ビデオマイクロスコープで撮像した画像について方向性を検討した。その結果,顔面6部位(額,顎,左右頬(鼻横および鼻唇溝横))における毛穴の方向はランガー割線(Langer's lines)に沿い,顔の正中線に対し左右対称であることが明らかになった。また,CutiScanを用いて顔面各部位の力学特性を調べたところ,皮膚が変形しにくい方向(力学的異方性)と毛穴の方向およびランガー割線とは対応することがわかった。さらに,4週間のスキンケアによる毛穴形状の変化を調べた結果,皮膚生理パラメータ(角層水分量,経表皮水分蒸散量(TEWL))の改善とともに毛穴面積は小さくなる傾向を示し,方向性には変化が認められなかった。

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© 2017 日本化粧品技術者会
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