日本化粧品技術者会誌
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原著
PTMC誘導体を用いた耐水性と洗い流し易さを両立する粉体の開発と応用
岩本 千紘小山 亜衣粂井 貴行渡邉 順司
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2018 年 52 巻 3 号 p. 197-204

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抄録

撥水処理粉体を用いたファンデーションなどのメイク製品は,優れた化粧もち効果を発揮する一方で洗浄時に水で洗い落としにくいという問題がある。そこで本研究ではポリトリメチレンカーボネート(PTMC)誘導体の乾燥-湿潤環境下に応じた表面偏析の変化に着目し,PTMC誘導体およびその表面処理粉体を開発し,水分応答性を利用して耐水性と洗い流し易さを両立するメイク製品への応用を検討した。ポリジメチルシロキサン(PDMS)を結合させたPDMS-PTMCと,メトキシ基末端ポリエチレングリコール(mPEG)を結合させたmPEG-PTMCを混合した膜は,水の接触角が経時的に高い値から徐々に低い値へ変化することが明らかになった。また,PDMS-PTMCとmPEG-PTMCを混合して表面処理した酸化チタンは,水に接触した時間に応じて水へのぬれ性が変化したことから,PTMC誘導体の水分応答性を粉体に付与できることがわかった。さらに,これら2種のPTMC誘導体処理粉体を用いたパウダーファンデーションは,化粧もちに優れるだけでなく,洗顔時は水で簡単に洗い流すことが可能となった。

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