日本化粧品技術者会誌
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原著
ブリーチ毛髪のうねり発生機構
上門 潤一郎豊田 洋介藤原 暢之小林 和樹鈴田 和之上甲 恭平
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ジャーナル 認証あり

2023 年 57 巻 3 号 p. 251-264

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抄録

ブリーチ顧客の毛髪は,洗髪時に絡みやすく,根元からうねって広がる現象が観察される。ブリーチ毛髪のうねり発生機構を明らかにするために,うねり現象の再現,ブリーチ毛髪の基本物性とうねり現象との因果関係,うねり部位の構造について検討を行った。ブリーチ毛髪は,未処理毛髪,カラー毛髪に比べ,ⅰ)毛髪表面は水が広がりやすく親水性が高くなっている,ⅱ)水による膨潤度が高い,ⅲ)水中の弾性率,強度は低く変形に対する回復性も低い(残留歪みが高い),ⅳ)乾燥状態での弾性率,強度は大差ないが変形に対する回復性は低い(残留歪みが高い),といった性質があることが確認された。ブリーチ毛髪の物性ⅰ),ⅱ),ⅲ)は洗髪水洗後に毛髪同士が曲がった状態で接着する絡まり現象を,ⅳ)は絡まりを解きながらドライヤーで乾かす過程で生じた変形が固定されるうねり現象を誘引する。ブリーチ毛髪のうねり現象は,ブリーチ毛髪を乾かす際,絡まった交差部分が移動しながら延伸されることにより,毛髪の非晶性中間径フィラメント結合タンパク質(IFAP)が圧縮され,その厚みが薄くなることが原因であることが明らかになった。

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