塩化セチルピリジニウムやグルコン酸クロルヘキシジンなどのカチオン性殺菌剤の活性を保持し, かつレオロジーの観点からも優れた性質を持った歯磨製剤について検討を行った。
試験歯磨剤として, polyquaternium 10 (分子量約200万), または高濃度のpoloxamer 238をゲル化剤に用いたものを調製した。対照歯磨剤としては, アニオン性のcellulose gumをゲル化剤に用いたものを調製した。調製した歯磨剤には全てカチオン性殺菌剤が含まれている。
カチオン性殺菌剤の殺菌力試験を行ったところ, 上記の試験歯磨剤において殺菌活性は保持されていたが, cellulose gum配合対照歯磨剤では, 殺菌活性は阻害されていることを確認した。
次に, シュードプラスチック性と正の相関がある非ニュートン性指数を用いて, 歯磨剤のレオロジー性評価を行った。上記の試験歯磨剤の非ニュートン性指数は, 粘度に関係なくほぼ一定の高い値をとった。一方cellulose gum配合対照歯磨剤の非ニュートン性指数は, 粘度によって大きく影響を受けることがわかった。
さらに, 唾液処理したハイドロキシアパタイトディスクへのカチオン性殺菌剤の吸着性においては, 高濃度のpoloxamer 238またはcellulose gum配合歯磨剤よりも, polyquaternium 10配合歯磨剤の方が優れているという結果が得られた。