抄録
化粧品の製品性能のうち感触 (官能) で評価される特性は, その効能効果と並び, 使用者にとって最も重要な因子の一つである。そして使用感の評価は, 官能評価法を始めとし, 近年種々の測定機器によって, 正確に捉え数値化しようとする試みが行われている。
今回, 各種油性剤や油性剤を配合した処方系について, 使用感の重要な一因子である「なめらかさ」といった感触を, 平均摩擦係数 (MIU) を指標として比較検討した。塗布の直後, 中期, 終盤及び塗布後にヒトが感じるなめらかさを, 数値化するため作成した塗布モデルによりMIUを測定し, 比較的粘度の高い油性剤が処方の塗布時によりなめらかさを与え, 塗布後30分のなめらかさは, 油性剤自身に起因するところが大きいものと考えられた。