1999 年 33 巻 1 号 p. 27-38
色素沈着画像には, メラニンによる呈色だけでなくその他の要素による呈色も含まれていることが多い。色素沈着の色の濃さを数値化する場合は, メラニンのみによる色素沈着の呈色度合いを対象にすることが望ましい。皮膚の分光反射データから求めた反射光構成因子V1, V2の重み係数M1, M2は, それぞれ相対的に深い所 (基底層周辺) に存在するメラニン量, 相対的に浅い所 (基底層より上層) に存在するメラニン量を反映している。皮膚表面から深さ方向に存在する場所が異なるメラニンによる呈色を分離し, 画像化する方法を考案した。メラニンによる呈色画像の平均輝度を算出し, 平均色素沈着濃度と定義した。また, 画像を構成している画素の輝度に関する頻度分布の形を二つのパラメータで表現する方法を開発し, 平均色素沈着濃度は等しいが輝度の頻度分布が異なる画像の色素沈着のプロファイル表示を可能にした。