日本化粧品技術者会誌
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新規カチオン性ポリマーの開発とその応用
川副 智行渡辺 智子神戸 哲也難波 富幸植村 雅明田村 宇平鳥居 健二奥田 尚広松本 純一内山 雄二朗
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1999 年 33 巻 2 号 p. 119-127

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抄録
従来, 頭髪用水性ゲル状セット剤 (スタイリングジェル) に用いられる合成系の増粘剤としては, ポリアクリル酸をアリル蔗糖で架橋したカルボキシビニルポリマーが, 増粘性, 透明性, 匂いの面で優れ, 汎用されている。しかしながら, このポリマーはアニオン性のポリマーを基本構造としているために, スタイリングジェルとして処方を構築する場合に配合することが必要となるセッティングポリマーは, アニオン性, ノニオン性に限られてしまい, セット力・感触に優位があり, なおかつ頭髪上で乾燥した被膜が剥離し, 白く粉をふいたようにみえる現象の少ないカチオン性セット樹脂や, 耐水性に優れた両性セット樹脂の配合は困難であった。そこで, われわれはカチオン性や両性のセット樹脂との相溶性に優れた増粘剤の開発を目指して検討した結果, カチオン性の性質を与える成分としてアミノアルキル (メタ) アクリレートをポリマー中に存在させた, 毛髪への密着性・増粘性・耐塩性に優れた新規カチオン性ポリマーを開発することができた。この新規カチオン性ポリマーは増粘剤でありながら, フレーキングの起こらない優れたセッティングポリマーとしての性質をあわせもっている。この新規カチオン性ポリマーの特性を応用することにより, フレーキングがなく, べたつかず, 毛髪の感触に優れ, しかも安定性・透明性において, 従来の頭髪用ジェルよりも優れた新タイプの頭髪用スタイリングジェルを開発することができた。
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